防犯だけでなく防災観点からも有効な窓シャッター・ガレージシャッター。手動や電動、停電時に対応できる商品なども。LIFULL HOME'S PRESSは、住宅の最新トレンドや専門家による正しい住宅情報を発信していきます【LIFULL HOME'S PRESS/ライフルホームズプレス】
台風時などの飛来物への不安から、防災観点でも注目される窓シャッター
ここ数年来、日本各地で大型台風、強風を伴う大雨など自然災害が増加、家づくりのプランニングを進める中では、構造、建材や設備機器選びなど、災害への十分な対策が必要になってきている。このような状況下、一戸建て住宅の窓まわりプランに変化がみられる。自然災害の多発が問題視される以前、新築一戸建てでは、窓サッシや窓ガラスの性能の向上、外観のデザイン性などの面から、雨戸やシャッターを設置せずに、窓サッシのみというケースが多くみられた。しかし、異常気象が続く中、強風による飛来物への不安などを理由に、窓シャッターへのニーズが高まり、新築はもちろんリフォームでの設置も増えてきている。三和シヤッターによると、「ここ2、3年で大型台風の被害が大きく報じられたことに加え、耐風圧性能が高い商品の注目度が非常に高まっていて、売上や問合せも発売開始から右肩上がりで増加している」という。一般的に、窓に設けるシャッターとは、スチールやアルミのスラット(シャッターカーテンとも呼ぶ)を上下させ開閉させるもの。スラットを支えるガイドレールやスラットを収納するシャッターボックス(ケース)などから構成されている。開閉操作は、手動だけでなく電動タイプもあり、室内の壁に設置するスイッチやリモコンでの操作が可能な商品もみられる。商品によっては、複数のシャッターの一斉操作やタイマー設定も可能。また、最近では、外出先からスマートフォンなどで操作ができるタイプや室内でAIスピーカーからの操作が可能なタイプもみられるようになってきた。
スラットの角度調整ができるブラインド機能を兼ね備えた窓シャッター。閉めたままでも明るい室内を実現。[マドモア ブラインド 電動タイプ]冬場は結露を防止し、夏場は太陽熱を遮蔽する窓シャッター
窓シャッターは、日本に古くからある引戸タイプの雨戸にかわる建材として用いられているものだ。設置するメリットとしては、まず、防犯面が挙げられる。窓ガラスを破る前にシャッターをこじ開ける手間が加わるため、防犯性が期待できる。また、外部からの視線を遮ることができ、プライバシーが守られることもメリットだ。その他、窓と二重になることで断熱性能も向上。冬場は結露を防止し、夏場は太陽熱を遮蔽、快適性はもちろん省エネルギ―にもつながるだろう。これらに加え、最近の消費者のニーズとし、防災面でのメリットが注目されているのだ。三和シヤッターも「防犯目的でも一定の需要がありますが、現状では防災対策としての採用も多く、年々増加しています」と話す。地域の特性、気象条件などでも違いがあり「特に九州、西日本や千葉県では大型化した台風による強風や飛来物に対する防災意識が高く、ニーズも多いと感じています」(三和シヤッター)ということからも、家づくりは、エリアの条件を把握してプランニングすることがますます重要になってくるだろう。
従来比3倍の耐風圧性能を確保、大型化する台風から住まいを守る。延焼の恐れがあり防火設備の設置が義務付けられた開口部にも対応可能。 高耐風圧窓シャッター [マドモア耐風ガード]耐風性の高い商品にニーズが。上階への設置が増えている
手動の窓シャッターを簡単工事で便利な電動タイプにグレードアップできる。既設の窓シャッターをそのまま利用するので、外壁工事が不要 [マドモアチェンジ]防災対策を重視して窓シャッターを取り入れる場合、窓シャッターに求める性能としては、耐風性がポイントになるだろう。耐風仕様の窓シャッターは、各メーカー開発が進み商品化されている。シャッターを設置する窓としては、「以前は防犯として1階にだけ設置するケースが多くありましたが、強風や飛来物対策として2~3階にまで設置するケースが増えてきています」(三和シヤッター)というように、上階への取り付けが多くみられるようになってきているようだ。これは、強風時に飛来物などにより窓ガラスが破損すると、建物の内部圧力が増し、室内から屋根などを破壊する被害につながる恐れもある。そのため、防止策として上階の窓へ、耐風性の高い窓シャッターの設置が必要となるのだ。また、リフォーム(後付け)ニーズに対応する商品も充実してきている。各メーカーそれぞれ、雨戸からシャッターへの取替えはもちろん、従来では設置をすることが難しかった既存窓でも取り付け可能なタイプなど、取り付け方法などに工夫を施した商品がみられる。三和シヤッターでも、「リフォームでは、雨戸から簡単に電動窓シャッターへ取り換えられる商品や手動の窓シャッターを電動にグレードアップできるタイプなどを揃えています」という。また、コロナ禍、換気面にも配慮したいところだろう。商品によっては、スラットの調整ができたり通気孔を持つタイプもある。プライバシーを確保しつつ光や風を採り入れることもできるのがメリットだ。「窓シャッターを完全に開けずに換気ができる商品がおすすめ。外から室内が見えないように視線だけを遮りながら換気が可能です」(三和シヤッター)窓シャッターを選ぶ際には、地域の自然環境はもちろん、家族構成やライフスタイル、毎日の暮らし方をイメージして検討することが大切だ。たとえば、高齢者や幼いお子さんがいるご家庭の場合であれば、戸締まりが楽な電動タイプが向いているだろう。設置する窓の役割や形状と合わせてプランニングするようにしたい。
車を守るガレージシャッターも注目
シャッターは窓だけでなく、ガレージなどのカースペースに取り入れるケースも多い建材だ。一戸建てのカースペースプランには、駐車するスペースだけを確保する場合やカーポート屋根を設ける、カーゲートを設置するなどさまざま考えられるが、シャッターやドアを設置したクローズドタイプのガレージは、防犯対策としてはもちろん、激しい風雨、紫外線などから大切な車を守ることができるのが大きな魅力だろう。ガレージに設置するシャッターにも、手動タイプと電動タイプがある。手動の場合は、スラットの下部の手掛けで上下させ開閉する。電動タイプはリモコンや壁スイッチなどで操作するものだ。また、収納形式によって、スラットが上部に巻き取られる一般的なシャッタータイプと上(天井)にスライドさせて開閉する(沿って収納する)オーバースライダータイプなどがある。オーバースライダータイプは、シャッターケースが無く、幅の広いスラット(パネル)を用いたタイプが多くみられるのが特徴だ。それぞれの特徴として三和シヤッターでは、「シャッタータイプはすっきりとした納まりと高い耐風圧性能がメリット。オーバースライダータイプは開閉速度が速く、フラットなパネルで意匠性が高いという特徴があります」と話す。
開閉速度が速く静かなアルミ製ガレージシャッター。より広い空間の障害物を非接触で検知できる多軸エリアセンサ、車の出し入れ、人や物の移動もより安全に行える。[静々動々]外観デザインに馴染むタイプが人気。停電時に対応した機能も
一戸建て向けのガレージシャッターの素材には、スチールやアルミ製、ステンレス、木製などがある。外観やエクステリアデザインに合わせやすいように、各メーカーともに、スラットの部分のカラーはいくつかのバリエーションを用意している。特に、オーバースライダータイプでは、デザイン性の高い木製のパネルなどもみられる。
モダンな住宅にふさわしいアルミパネルのオーバースライダータイプ。防犯性能と準遮炎性能(1台用のステンカラーとシルバーのみ)を持つ。パネルカラーは7色。[威風動々]停電時でも自分でハイブリッド車またはポータブル電源のコンセントを利用して電気を供給し、シャッターを電動で開閉することが可能。[Eコネクト]また、安全性や使い勝手を高めるさまざまな機能も充実してきている。電動タイプでは、障害物を感知すると自動的に停止する安全装置などは必須だろう。電動タイプのシャッターは、開閉スピードや開閉音が気になる声も聞かれるが、最近ではスピードも速まってきており、静音タイプなどもみられる。その他、停電時でも手動だけでなくハイブリッド車やポータブル電源を用いて電動操作が出来る機能なども提案されている。使い方や家族構成に合わせて取り入れるようにしたい。三和シヤッターでは、「安全面では広範囲の障害物を検知する多軸エリアセンサ、又は2段の光電センサーを推奨します。また、オーバースライダータイプは指はさみ防止構造になっているか確認を。特に小さなお子様がいる場合は注意してください」と話す。ガレージシャッターにも多様な商品があるので、プランニングの際には、防犯か災害対策かなどガレージを設置する目的や優先順位など、予算を含めて明確にしておきたい。電動か手動か悩む場合は、使用頻度などをイメージして検討を。毎日のことであれば電動を、週末のみであれば手動タイプという考え方もある。窓シャッターやガレージシャッター商品を選ぶ際には、カタログだけでなく、可能な限りショールームを活用することが大切だ。実際の操作方法など操作性の確認を。開閉時の音や重さなどもチェックしておきたい。また、メンテナンスや修理などに関しても事前に確認しておくことも重要なポイントだろう。■取材協力 三和シヤッター工業
2021年 11月29日 11時05分
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