大東建託初の「ガレージ付き賃貸住宅」 新シリーズで取り込む需要とは?

大東建託が高付加価値の賃貸住宅「CIEL(シエル)」シリーズ展開

大東建託初の「ガレージ付き賃貸住宅」 新シリーズで取り込む需要とは?

 大東建託は2月21日、賃貸住宅総合ブランド「DK SELECT」から、高付加価値の賃貸住宅「CIEL(シエル)」シリーズを立ち上げると発表した。同日から、デザイン性や防犯性を高めた「シエル コート」と、同社初のガレージ付き賃貸住宅「シエル ガレージ」の販売を開始した。【画像】物件を見る 大東建託では、これまで木造をメインに、2LDK、1LDKのカップル(ディンクス含む)・ファミリー向け商品を多く展開してきた。 同社が管理する戸数は2022年1月末時点で約118.4万戸。このうち、最も多い間取りは2LDKの33%で、1LDK(32%)と続く。 また、入居者の年齢は20代が45%で最多。次いで30代(28%)と、比較的若い層の入居者が多くなっている。このため、入居者の年収分布は300万~500万未満が56%を占め、入居者の80%が500万円未満の年収となっていた。 一方、同シリーズの2商品ではターゲットを単身・2人世帯に設定。この背景として同社は、これら世帯の増加や晩婚化による家賃の上昇、コロナ禍によるテレワークの普及などをあげる。 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、20年時点での単身世帯数は約1934万世帯。一般世帯総数の35.7%を占めている。世帯数の増加は32年にピークを迎えるものの、単身世帯が占める割合はその後も上昇し、40年には約40%に達する見込みだ。 また、晩婚化の影響などから、単身世帯の支払う家賃も増加傾向にある。さらに夫婦のみといった2人世帯も増加しており、25年には1120万世帯まで増加すると見込まれている。 そこで同社は、新たに高付加価値の賃貸住宅としてシエル シリーズを展開。オーナーに対し、他の物件との差別化や家賃アップによる収益性の向上、入居率の安定につながる商品として訴求する。

エントランスゲートや中庭を備えた「シエル コート」

 ラインアップの一つである「CIEL COURT(シエル コート)」は、オートロック付きのエントランスゲートや中庭を備え、デザイン性と防犯性を両立させた。 セコムの調査によると、今後の治安悪化や犯罪増加に懸念を持つ人は73.2%と多い一方、実際に防犯対策をしている人の割合は40.8%と半数以下となった。同物件では、単身・カップル層をターゲットにデザイン性や機能面に特色を付けながらも防犯性の高い物件として訴求する。 外観は、アーチ型のゲートと中庭で高級感を演出。エントランスゲートには視認性が高いフェンスや門扉を採用したほか、非接触型のオートロック設置し、防犯性を高めた。またオプションとして、防犯カメラやホームセキュリティにも対応できるようにした。 住戸は、1階と2階が別の住戸からなる「フラットタイプ」と、戸建てのような「メゾネットタイプ」の2種類を用意。  建物両端のフラットタイプは、1階が「1LDK+サンルーム」、2階は「1LDK+マルチルーム」とした。従来の商品では、バルコニーかサンルームを選択するラインアップが多かったが、シエル コートでは、同じ住戸に2つを設置する間取りとした。 その理由について、商品開発部 部長の峠坂滋彦氏は「防犯面のほかに、趣味や仕事部屋として使う可能性を加味した」と説明する。 サンルームのみを設置した場合、部屋が直接外部と接することになる。そこで、バルコニー→サンルーム→LDKとすることで、室内に光を入れながらもプライバシーを守り、外部との“緩衝材”を設けることができるとしている。 また、同シリーズのターゲットは従来の商品よりも「1ランク年収の高い人」を想定している。同社が展開する物件の入居者の多くは、洗濯物を自然乾燥させる人が多いというが、同物件のターゲット層では、浴室乾燥機などを使い「機械的に洗濯物を乾かす」可能性が高いと分析。 そこでサンルームにはデスクを設置し、趣味やテレワークスぺースとして活用できるようにした。また2階住戸には扉で区切ることが可能な3畳のマルチルームを用意した。 木造2×4工法の2階建てで、北海道、多雪地域、沖縄県を除く全国で展開する。専有面積は50.42~51.54平方メートル。初年度で50棟の販売を目標とする。

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