防音室付き賃貸物件の特徴とは? 普通の部屋を防音室につくり替える方法も
構造が重要? 防音性の高い建物の特徴
防音性能は、建物自体の構造によって大きく変化します。そのため、防音を意識して部屋探しを行ううえで、構造は特に目を向けたいポイントです。
ここでは、建物の構造と防音性能の関係性について見ていきましょう。
もっとも防音性能に優れた鉄筋コンクリート造
建物の構造は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つに分けることができます。このうち、もっとも防音性能が高いものは鉄筋コンクリート造であり、鉄骨造、木造の順に防音性が低下していくのが一般的です。
鉄筋コンクリート造に分類される物件のなかには、ほかにも鉄骨鉄筋コンクリート造があるものの、防音性能にはほとんど差がないとされています。防音性能の高い物件は、このうちのいずれかである場合がほとんどであるため、まずは構造上の特徴を押さえておくことが重要です。
防音室付き賃貸物件の特徴
防音室付きの賃貸物件は、建物の構造以外にも通常の物件とは異なる特徴を持っています。ここでは、部屋のつくりに目を向け、主な特徴について解説していきます。
壁のつくりに関する特徴
防音性が高いとされている物件では、建物の構造とともに、部屋のつくり自体にもさまざまな特徴が見られます。たとえば、壁については、「中空二重構造」が採用されているケースも多いといえます。
これは、壁の内側に軽量鉄骨を挟んで空気の層を設け、吸音材を敷き詰めたうえで石膏ボードを取り付けるつくりです。通常の物件はコンクリートに直接壁紙を貼っている場合が多いため、中空二重構造によって隣室への遮音性が大きく向上するのです。
床や天井のつくりに関する特徴
楽器などの音は、床や天井を通して上下階にも伝わってしまいます。そのため、防音性が高いとされる物件においては、それぞれに特別な設備が施されているケースも多いのです。
たとえば、床は通常の賃貸物件と異なり、吸音材や制震ボードといった防音用の資材が使用されます。また、天井も石膏ボードなどの遮音材が使われたり、振動を伝えないための防振ゴムが使用されたりすることが多いです。
窓のつくりに関する特徴
部屋の防音設備において、とても重要な役割を担っているのが窓です。窓からの音漏れを防ぐために、多くの物件では二重サッシが採用されており、外部と室内の両方から音が行き来できないようなつくりとなっています。
また、高性能な防音賃貸物件では、三重サッシが採用されているところもあります。より大きな音を遮音することが可能であり、騒音トラブルの不安をさらに軽減できる点が大きなメリットです。
楽器可(相談)の賃貸特集一般の賃貸物件を防音室につくり替えることも可能
防音性能の高い物件は、それほど数が多いわけではなく、通常の物件と比べて賃料も高くなりやすいといえます。条件に合う物件が見つからないときには、通常の部屋を防音室につくり替えるのも1つの方法です。
ここでは、一般の賃貸物件を防音室に変える方法や注意点について見ていきましょう。
賃貸物件でも防音工事はできる?
一般の賃貸物件であっても、専門の会社に依頼して防音工事をすることが可能な場合があります。防音対策について詳しい専門家であれば、建物ごとの特徴を正確に捉えたうえで、必要な設備を提案してくれるのです。
主な施工内容は、壁に吸音材や遮音シートを貼り付けたり、換気口や窓に防音加工を施したりするといったものです。すべての設備を整えようとすると、場合によっては50万円以上の費用がかかってしまうこともあるため、見積もりを出してもらった段階で慎重に検討しましょう。
賃貸物件で工事を行う際の注意点
一般の賃貸物件で防音工事を行ううえで、もっとも気をつけておかなければならないのは、「原状回復義務」です。これは、通常の使用の範囲を超えた利用で建物を損傷してしまった場合、入居者が損害費用を負担しなければならない可能性があるという決まりです。
部屋に造作を加えた場合も、退去時には元に戻す必要があるため、設置だけではなく修繕の費用についても考えておきましょう。工事費用と修繕費用が必要となるため、短い期間であれば、防音室付きの賃貸物件を借りたほうが安く済むケースも多いのです。
また、原状回復を前提としていても、大家さんの許可なく工事することはできません。物件を借りる際には、定められた用法で使用しなければならない「用法遵守義務」があるため、勝手に建物の構造を変えることは重大な違反になってしまいます。
無用なトラブルを避けるためにも、必ず事前に大家さんや管理会社の許可をとっておきましょう。
市販の防音室を設置するのも1つの方法
賃貸物件に防音設備を取り入れるためには、部屋の中に設置できる市販の防音室を利用するのも1つの方法です。大がかりな工事の必要がなく、気軽に導入できる点がメリットであり、安いものであれば10万円程度から手に入れることもできます。
ただ、防音性能については素材や大きさによってバラつきがあり、期待していたほどの効果が得られないこともあります。また、原状回復においては特に問題がなくても、許可なく利用していれば思いがけないトラブルになってしまうこともあります。
そのため、市販の防音室を導入する際にも、きちんと事前に大家さんの許可をとっておきましょう。
賃貸物件における防音室の注意点
防音室付きの物件はさまざまな設備が整えられているため、一定以上のレベルで防音性が期待できます。しかし、騒音トラブルを避けるためには、利用者側で気をつけておかなければならない点があることも事実なのです。
ここでは、防音室付き物件を借りる際の注意点について解説していきます。
ポイント1:防音性能を過信しない
防音設備や建築物の構造によっては、防音室でも音が漏れてしまう場合もあります。防音室については、取り扱っている不動産会社が遮音性能を計測しているケースも多いため、事前にきちんと確認しておきましょう。
また、必要に応じて、自分でも防音対策を行うことも大切です。たとえば、ピアノや電子ドラムなどの楽器を使用するときには、床に遮音・防振マットを敷くといった方法もあります。
ポイント2:きちんとルールやマナーを守る
防音室付きの物件であっても、利用に関してさまざまなことが制限されている場合があります。たとえば、「楽器の演奏は22時まで」など、時間で区切られているケースも少なくはないため、事前に利用規約を確認しておきましょう。
また、楽器の種類について制限していることもあります。ピアノやギターが認められていても、音の大きな金管楽器や打楽器は禁止されているなど、物件によってルールはさまざまです。
たとえば、防音上の問題がなくても、重さや搬入経路の面からグランドピアノが禁止されている物件も少なくありません。そのため、楽器の演奏を検討している場合には、使用できる種類についても確かめておきましょう。
ポイント3:湿度管理に注意しておく
防音性能の高い物件においては、部屋の気密性が高いため、空気の循環が悪くなりやすい面があります。湿気の影響により、楽器や音響設備などが劣化してしまう可能性もあるため、こまめに湿度の管理を行うことが重要です。
また、物件を探す段階で、防音性能とともに換気の仕組みについてチェックしておくことも大切となります。
楽器可(相談)の賃貸特集防音室付きの賃貸物件の特徴を正しく理解しておこう!
この記事のポイントをまとめます。
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