「ウォッチドッグス レギオン」レビュー - GAME Watch
ハッカー、養蜂家、マジシャンも! 怒れる市民が能力を活かして大反逆を巻き起こす
「ウォッチドッグス レギオン」は、近未来のロンドンをテーマにしたオープンワールドアクションだ。ゲームの流れそのものはオーソドックスで、各地で発生するミッションを繰り返しクリアすることでストーリーを進めていく。
「ウォッチドッグス」シリーズといえば監視カメラなどをハイジャックするハッキングシステムで、これも健在。警戒中の建物の監視カメラに侵入し、そこから内部の様子を偵察できたり、爆破物があればハッキングして罠を設置できたりする。より侵入しやすくなるような環境を整えることで、無駄な戦闘を避けつつスマートに目的を達成できるわけだ。
プレイ感そのものは一般的なオープンワールドアクションのイメージであっているさらにガジェットとして活躍するのがスパイダーボット。名前通りクモの形をした小型ロボットで、歩みを進めながらスルスルと建物の奥へと入っていける。小型なので見つかりにくいし、後ろからこっそり近づけば敵を気絶させることもできる。この動きのかわいいロボットをうまく使えば、建物の外から安全にミッションをクリアできる。
今回、空中を自由に操作できるドローンは手持ちガジェットとして登場しない。が、結果としてはよく使う。というのも街はドローンだらけなので、ハッキングして都合よく使わせてもらえるからだ。
飛んでいるドローンをキャッチするようにハッキングして、そのまま危険エリアに潜入。そこで敵の位置の把握やなんならギミックの解除なんかもして、大いに潜入の準備をさせてもらう。たとえ見つかっても警戒が強まる程度でリスクは低い。この遠隔操作でだいたいのことができてしまう感じは、まさに「ウォッチドッグス」の手触りだと言えるだろう。
最初から最後までよく使うことになる相棒、スパイダーボットドローンもとても役立つ。ミッションにはドローン操作に特化したものもあるプレーヤーのできることはミッション以外にも様々だが、中でも重要になるのがメンバーの勧誘だ。ハッカー集団でレジスタンスのデッドセックは、本作の冒頭で色々あって壊滅状態になり、最初のメンバーは1人しかいない。そこからどんなメンバーを集めてどんなレジスタンスを作っていくかは、プレーヤー次第となっている。
街にはバーテンダーに会計士、ハッカー、警備兵、副社長、ゲーム開発社、俳優、ストリーマーなどなどあらゆる職業、あらゆる年代の人がいる。各市民をハッキングすると個人情報とともに能力が表示されて、勧誘候補にするかどうかを決められる。
市民のアイデンティティは様々。街中のどの人物でも採用できるハッカーであればハッキングのスピードがはやかったり、警備兵なら装備に警棒があったり、それぞれに特徴がある。変わったところではロボット蜂を敵にぶつける養蜂家なる職業の市民もいる。能力重視で勧誘するか見た目重視で揃えていくかは自由で、ときにはミッションの流れで特定の市民を勧誘することもある。このシステム自体は、プレイするうちにコツは掴めるはずだ。
ちなみに筆者的おすすめは、医療関係者と法務関係者。医療関係者は負傷して一定時間使用不能になったメンバーの回復時間を早められ、弁護士などは逮捕されたメンバーの拘束時間を短縮できたりする。メンバーに入っていれば能力が発揮されるので、何かあったときのための備えとして、たとえ操作しなくてもいるだけでありがたい存在だ。
養蜂家にマジシャンも。市民のプロフィールを見ていくのも楽しい本作がいいバランスだと思うのは、市民たちに能力の差はあれど、これらは必須ではないこと。
ハッキングやスパイダーボットといった最も強力なデッドセックの武器は誰でも使えるので、たとえ無職の人をメンバーに採用したとしても、プレーヤー次第でどんなミッションでもこなせる。画面に映る人すべてに、驚くほどの可能性があるのが「ウォッチドッグス レギオン」ならではだ。
基本的には誰でもミッションをこなせる。人によって状況ごとの有利不利があるようなイメージだ能力にはデメリット方面のものもあって、たとえば高齢者は足が悪い場合がある。足が悪いと他の市民と比べてアクションが遅くなり、敵から逃げるのが難しくなる。ただし、そのハンデを背負いながらバリバリ敵施設を壊滅させる痛快さは捨てがたい。こうしたメリットデメリットは捉え方次第であり、ロールプレイを楽しむ上では大切なところだ。
また笑ってしまったのが、「有名」というステータスがあると他の市民に気づかれることが多いこと。スーパースターが凄腕ハッカーだった……というのはいかにもありそうなシチュエーションだが、真剣な潜入には思いっきり邪魔だったりするわけだ。
ケンカ上等の闘技場「ベアナックル」では、格闘能力の高い市民が役立ってくれるなお勧誘は一筋縄ではいかなくて、1人の市民をメンバーに採用することそのものがひとつのミッションとなっている。市民はデッドセックに友好的だったり懐疑的だったりして、あまりに嫌われていると勧誘できない(デッドセックが成長すると勧誘できるようになる)。
友好的な人はだいたいひとつのミッションで採用できるが、嫌われている人はその度数に応じて複数のミッションをこなすようなイメージ。どうしても採用したいなら、その人の困っていることをとことん手助けしてあげるといいだろう。
清掃人からストーリートコンピューティングに勤しむハッカーまで、画面に映る全員が採用対象だ