無人型食料庫「コミュニティフリッジひまわり」 福島で来月開始 生活困窮者いつでも支援 LINEで入荷通知
福島市のNPO法人チームふくしまは来年1月中旬から、無人型の食料庫「お互いさま倉庫 コミュニティフリッジひまわり」をスタートさせる。事務所が入る市内のアパートの一室を借り、生活苦で悩む市民らがいつでも援助を受けられる場所をつくる。コロナ禍の長期化で困難を抱える家庭が増える中、支え合う地域づくりの実現を目指す。
コミュニティフリッジは「公共冷蔵庫」を意味する。さまざまな事情で生活支援を必要とする人がいつでも食料品や日用品を無料で受け取れる。利用は登録制とし、児童扶養手当や就学援助を受けている一人親世帯、奨学金を受給している学生、児童養護施設の卒業生を対象とする。
食料庫を設置するアパートの扉には最新のデジタルキーを導入し、利用者のみスマホで開閉できるようにする。室内は無人だが、監視カメラを設置することで盗難やトラブルの防止など安全面にも配慮した。
支援物資は同NPOが開発したレトルトカレーや備蓄していた防災非常食、菓子類、生活雑貨などの日用品などで、同NPOの資金で購入するほか、団体や個人に寄付を募る。スタッフが品物の在庫を管理し、いつ、誰が、何を持っていったのかを確認する。登録者には無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、備蓄状況を見ながら入荷のお知らせを配信する。
同NPOはこれまでも子ども食堂や、生活に困っている人への支援を行っているが、利便性の向上に向けて食料庫の試験運用に乗り出す。一連の仕組みを発案した岡山市の一般社団法人「北長瀬エリアマネジメント」から運営ノウハウを学んだ。
5月末まで試験的に取り組み、当面は午前10時から午後4時の間まで運用する。本格運用時には24時間利用とする方針。
需要に対する品不足が懸念されるが、今後は専用のホームページ(HP)を開設し、遠隔地からも食品などを寄付できる仕組みを整える。同NPOのボランティアで管理人の山田雅彦さん(55)は「お互いさまの精神で、困った時は誰もが手を差し伸べ合える地域をつくりたい。多くの皆さんに関心を持ってもらい、共に活動を進めていきたい」と話す。
岡山発のコミュニティフリッジはコロナ禍を受け、西日本を中心に徐々に広がりを見せている。