ドローン規制緩和の内容とは?製鉄所で利用拡大

小型無人機「ドローン」の建設業や物流業における利用拡大を進めるために、政府はドローンの規制緩和を進めています。

ドローンの活用が促進されることで人材不足問題が解消されるほか、安全な点検や効率的な物流フローが構築され、コストや人員を抑えた事業推進が可能になるのがメリットです。

2021年8月27日、ドローンによるインフラ点検飛行を目的としたマニュアルの内容が一部改正されました。これにより鉄鋼各社でのドローン利用が広がっています。

本記事では改正内容や経緯、利活用が拡大した事例についてご紹介します。

もくじ

  • 2 ドローン規制緩和により利活用が拡大した事例
  • 3 まとめ
  • ドローンの規制緩和の背景とは?航空局標準マニュアル改正について解説

    2021年8月27日に国土交通省により航空局標準マニュアル改正が発表。
    これにより、製鉄所は年一回の包括申請によって24時間365日ドローンの利活用が可能になりました。

    規制緩和の経緯

    製鉄所は敷地が広く超高層建造物も多いため、ドローン活用に最適な場所です。

    しかし従来の無人航空機を利用したインフラ点検においては、飛行申請の事務的な手続きに加えて飛行高度や補助者配置などの制約がありました。
    製鉄所は24時間365日稼働しているため、ドローンの機動的な利用が難しい状況にあったのです。

    そこで日本鉄鋼連盟は鉄鋼各社からの要望を集約し、関係諸機関と協議・調整を行いました。

    その結果、居住区と明確に区切られ、安全・防犯等の管理が徹底されている地域に対して、一定条件下で規制緩和が実現。
    製鉄所は年一回の包括申請をすることで24時間365日を通してドローンを活用できるようになりました。

    航空局標準マニュアル改正の内容と変更点

    〇無人航空機によるインフラ点検飛行を目的とした「航空局標準マニュアル01(インフラ点検)」において、インフラ点検及び設備メンテナンス(プラント保守)用の「航空局標準マニュアル01(インフラ・プラント点検)」として位置づけを改め整備します。
    ドローンの経路逸脱防止・第三者の立入禁止等の安全管理が徹底されている製鉄所等管理敷地内における飛行の申請手続を明確化しました。

    引用:https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

    従来のインフラ点検を想定した無人航空機(ドローン)の飛行については、次のような形でマニュアル化されていました。

    ドローン規制緩和の内容とは?製鉄所で利用拡大

    「無人航空機マニュアル(DID・夜間・目視外・30m)インフラ点検を目的とした(場所を特定しない)申請に適用」

    新たに作られたマニュアルは以下のようになっています。

    「無人航空機飛行マニュアル(空港等周辺・150m以上・DID・夜間・目視外・30m)インフラ点検及び設備メンテナンス(プラント保守)を目的とした(場所を特定した)申請について適用」

    一定の条件を満たしている製鉄所などの敷地内において、より幅広いシチュエーションでのドローン飛行が可能になりました。

    新たに追加されたルールの一つに「安全を確保するために必要な体制」に関する項目が挙げられます。つまりドローンの飛行環境についての取り決めです。

    ドローンを、地表又は水面から150m以上の高さで飛行させる際は以下のことに気を付けましょう

    ・関係機関(空港事務所・航空交通管制部)と常に連絡が取れるようにしておくこと
    ・飛行予定日時、飛行高度(上限、下限)、機体数などについては、空港事務局と事前に話し合い、要請に応じること

    このほかにも第三者の上空を飛行する際の注意点に関しても、従来のマニュアルから変更があります。

    特に第三者の出入りを厳重に規制しているエリア内においても、無人航空機を飛行させるものは次のことに気を付けなければいけません。

    ・第三者が経路下にいないことが明確でない場合や、ドローンが敷地外に逸れてしまったときの措置が定まっていない場合は飛行させないこと

    上記の対策がしっかり守られている際は、補助者の配置変更も可能です。

    【注意点】
    航空法等の改正に伴い、『航空局標準マニュアル』の内容は随時更新されます。最新のマニュアルを確認するようにしましょう。

    ▼参考
    無人航空機飛行マニュアル(DID・夜間・目視外・30m)
    インフラ点検を目的とした(場所を特定しない)申請について適用
    https://www.mlit.go.jp/common/001396469.pdf

    無人航空機飛行マニュアル(国土交通省航空局標準マニュアル①)
    https://www.mlit.go.jp/common/001396467.pdf

    ドローン規制緩和により利活用が拡大した事例

    今回のドローン利用に関する規制緩和では、製鉄所でのドローン活用を促進させる効果がありました。

    具体的にどのような作業が可能になっているのか、今後どのような広がりを見せていくのかご紹介します。

    関西製鉄所和歌山地区

    日本製鉄では、関西製鉄所和歌山地区で包括申請を実施。
    ほかの製鉄所でも順次申請を行っていくそうです。

    今回のドローン規制緩和を受けて、以下の作業においてドローン利用を取り入れていく予定です。

    ・従来規制のあった飛行高度(150m)での点検
    ・自動運転による広範囲の点検
    ・製鉄所岸壁の海べり飛行による護岸や設備の点検

    ドローン活用の幅が広がったことで、作業員が点検する際に足場を設置するといった手間が省けます。また道路や鉄道、ベルトコンベヤといった広大な範囲における点検の自動化、船舶を利用しない護岸点検が可能です。

    このように作業負荷を大幅に軽減できるほか、コストダウンや高い安全性の確保が期待できます。また新型コロナウイルス感染症対策として、三密回避の効果もあるでしょう。

    ▼参考
    https://www.nipponsteel.com/news/20210830_100.html

    まとめ

    ドローンは、国内のインフラを支えるという点で非常に重要な役割を果たします。
    そのため、政府、自治体、民間企業など多くの現場で活用する動きが広がっています。

    ただし、使用場面によってルールが異なることも多いです。
    さらに2022年には航空法が改正され、ドローン利用の流れは大きく変わるでしょう。

    今後もドローンに関する最新情報をお届けします。
    ぜひチェックしてください。

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    ビバ! ドローン編集部

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