スマートリング「Motiv」レビュー:それどこで買ったの?って聞かれるデザイン性

ウェアラブル最大の課題、「ダサい」がない。

スマートウォッチやらウォッチ型フィットネストラッカーといったウェアラブルデバイスが出始めた数年前、どんなデバイスにも共通していた課題はダサいということでした。そんななかでもApple Watchは健闘してますが、それでも積極的に「その時計、どこで買ったの? 私も欲しい」と言われるというより、知ってる人が見てやっと「ああ、Apple Wathね」と思われるくらいじゃないでしょうか。

そんな中ついに、積極的に「欲しい!」と思われるようなウェアラブルデバイスが登場したようです。といってもApple Watchみたいな汎用的なものじゃなく、フィットネストラッカー機能のみですが、それでもこれは画期的なことじゃないでしょうか。米GizmodoのMelanie Ehrenkranz記者が1週間ほど使ってレビューしていますので、どうぞ!


この前の日曜日、未来が私にやってきました。それは指輪の形をしていて、二日酔いで午後5時に昼寝をする私の睡眠を記録していました。それは空飛ぶ車でも、錠剤ひとつに1食分の栄養を詰めたものでもありませんが、私はこの小さな指輪型フィットネストラッカー、すごくいいと思ってます。

Motiv Ringとは?

価格:199ドル(約2万2000円)何なの?:指輪の形をしたフィットネストラッカー好きなところ:人からオシャレってほめられたこと。好きじゃないところ:心拍数を計るとき、緑のハートが光るのがうっとうしいかも。

Motiv Ringは、指にはめるフィットネストラッカーです。ある友だちはこれを装着しつつ、「運動と結婚したの!」なんてジョークをいってました。テック企業は、すべての人が生活のあらゆる瞬間を定量化すべきであると説いていますが、Motivも例外ではありません。Motivは移動した距離や歩数、消費カロリー、運動した時間、運動中の心拍数、安静時心拍数、睡眠時間、といったものをトラッキングします。素材はチタン、水深約50mまでの防水で、1回の充電で約3日間保ちます。USBチャージャーが付属していて、1時間半くらいでフル充電できます。

まずMotivは、ほかのいろいろな失敗したスマートリングとは違っています。たとえばSmarty RingやRingは、指を魔法の杖のように使って何もかもをやろうとしていました。「空中に封筒の絵を描くとメールが送れる」みたいに言われてましたが、実際はそんなにうまく動かず、結局スマホのメールアイコンをクリックする方が近道だし、挙動不審でもありませんでした。でもMotivは、そういう魔法ができるとはいっていません。それは単なる小さいフィットネストラッカーなんです。機能面ではまったく画期的じゃないんですが、目立たないデザインという意味で際立っています。

ただMotivがほかのスマートリングと共通しているのは、やっぱりそれが加速度計やバッテリーを搭載したガジェットでありながら、ファッションアクセサリーでもあるという点です。もともと「時刻をみる」機能のために使われていた腕時計とは違って、指輪は機能性じゃなく美しさのために手に入れるものですよね。そういう意味では、MotivのハードルはFitbitのそれよりちょっと値段が高い、という点になります。

スマートリング「Motiv」レビュー:それどこで買ったの?って聞かれるデザイン性

でもMotivを1週間ほど身に着けて生活してみて、これなら既存のウェアラブルのデザインに不満がある人にもウォッチ型よりいいじゃん!と思われるかも、と感じます。MotivにはFitbitほど豊富なデータトラッキング機能はありませんが、その分をデザイン面で埋め合わせています。今後のアップデートでMotivの機能が向上していけば、数あるウォッチ型フィットネストラッカーに対する脅威になるかもしれません。

Motivのセットアップは、比較的簡単です。まず購入すると指輪のサイズを測るキットが送られてくるので、それでサイズを測って希望の色とともに知らせます。色はスレートグレーとローズゴールドの2色。その後Motivが送られてきたら、BluetoothでiOSデバイスとペアリングします(Androidアプリはまだないんです)。

アプリでは歩数よりも運動時間(Active Minutes)を重視しています。「運動時間」としてカウントされるかどうかは、デバイスの動きと心拍数両方で判定されるので、実際はNetflixを観ながらMotivを振り回して運動したことにする、とかはしにくくなってます。また「運動時間」とされる基準値は、夜の安静時心拍数を測ることで個人に合わせることができているようです。アプリでは運動時間が一番上に大きく表示され、その下に歩いた歩数、移動した距離、消費カロリーが表示され、活動量を日ごとに確認できます。その下には、運動した時間帯を表示するカードと、睡眠時間のカード、安静時心拍数のカードが表示されています。

「運動」かどうかが心拍数で判定されるとなると、気になるのは、指輪でも十分な計測精度があるのかってことです。Motivいわく、正しく計測するには指輪のサイズが合っていることが重要で、あとは心拍数センサーを「指の内側の部分」に合わせるのも役立つんだそう。MotivとサムスンのGear Fit 2を両方着けてジョギングしてみましたが、それぞれが出す心拍数はほぼ同じでした。

Motivはフル充電すると3日保ちます。その間に、私は自分に睡眠が足りていないこととか、週末二日酔いだと運動不足になることとかがわかりました。それから、この素敵なアプリで自分の残念なライフスタイルを確認したって、ベッドを出て運動しようっていう気にはならないこともわかりました。

でもMotivを着けて友だちに会ってみると、これがファッション的にどうなのか生の反応が得られました。友だちの反応は…好評だったんです! 別々の3人からこの「指輪」をほめられ、どこで買ったの?と聞かれました。みんなMotivがスマートデバイスであることには気づかなくて、私が「実はこれ…」と言って内側の光っている部分を見せると驚き、そしてたいてい「スマートじゃなくても欲しい!」と言われました。

とはいえ、Motivにも欠点はあります。今回使ったのは1週間未満でしたが、すでにちょっとしたトラブルがありました。ある夜に緑の光の点滅が止まらなくなり、一晩外して見たら点滅が止まる、という謎の現象が起こったのです(その後は問題なく使えてはいますが)。また価格も、多くの人にとっては問題でしょう。199ドル(約2万2000円)ってことはFitbit Flexなら3つも買えるし、あと50ドル(約6,000円)あれば一番安いApple Watchだって買えます。

それでも、Motivが見せてくれたポテンシャルは否定できません。それはMotivそのもののポテンシャルだけではなく、スマートデバイスも「欲しい!」と思われるようなデザインになれるっていう、ウェアラブル全体の大きな希望です。

まとめ

・運動時間を重視しているのは、心臓にはより良いことです。

・ウェアラブルデバイスの中ではいいデザインですが、スクラッチプルーフではないので傷つきやすい。

・2017年9月現在、Androidでは使えません。

・ほかのフィットネストラッカーと比べると、取れるデータや機能において負けているわりにお値段がやっぱり高すぎです。

Image: Gizmodo USSource: MotivMelanie Ehrenkranz - Gizmodo US[原文](福田ミホ)

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