ニュース 2022年1月だけでユニコーン企業が5社誕生。フランス発スタートアップ、躍進の背景は?

2022年1月だけでユニコーン企業が5社誕生。フランス発スタートアップ、躍進の背景は?

このほど、仏マクロン大統領は、いつものかっちりしたネクタイにスーツ姿から一転、スティーブ・ジョブズを思わせる黒いタートルネック姿でTwitterに動画を投稿し、「フランスのスタートアップはフランス人の生活を変え、フランス全土に何十万もの雇用を生み出す」と熱く語った。経済・産業・デジタル大臣の経歴も持つマクロン大統領がこのような投稿をしたのは、大統領就任時の2017年には3社しかユニコーン企業がなかったフランスにおいて、2025年までに25社のユニコーン企業を生み出すという目標を、予定より3年も早く達成した喜びを国民に伝えるためだ。今年1月だけで5社誕生したフランスのユニコーン企業は、どのような顔ぶれなのだろうか。フランスのスタートアップシーンが盛り上がる背景とあわせてお伝えする。

ニュース 2022年1月だけでユニコーン企業が5社誕生。フランス発スタートアップ、躍進の背景は?

ユニクロも顧客、産業ロボットユニコーン「Exotec」

フランスで25社目のユニコーンとなったのは、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングを顧客に持ち、日本法人「エグゾテック日本」が東京にオフィスも構える、日本にとって縁の深い物流ロボティクス企業「Exotec」だ。フィンテックやクラウドサービスが目立つフランスのスタートアップシーンで、初の産業ロボット分野でのユニコーンとなった企業でもある。同社が開発する垂直方向にも移動が可能な自律型倉庫ロボット「スカイポッド」は、棚からの商品の取り出しといった倉庫作業を自動化し、ロボットアーム「スカイピッカー」は、仕分け業務を正確かつ効率的に遂行する。これまでにユニクロだけでなく、GAPなどグローバルブランドを顧客として獲得してきた同社は、アトランタ、ミュンヘンにも拠点を構え、2025年までに現在350名の社員数を500名にまで増員することを予定している。

欧州の中小企業を支援するユニコーンが続々

中小企業の社内支出管理をサポートする「Spendesk」(公式サイトより)

今年に入ってからユニコーン入りを果たしたフランスのスタートアップリストには、中小規模のビジネスの業務をスマート化する企業が並ぶ。従業員用のデビットカード会社としてスタートした「Spendesk」は、欧州の中小企業を主な顧客として、社内のあらゆる支出をワンストップで管理できるプラットフォーム「The 7-in-1 spend management solution」を提供。未払いの請求書の支払い、経費報告書の提出、予算管理、支出報告書といった事務作業のデジタル化・効率化をサポートする。今年最初のフランス発ユニコーンとなった「PayFit」も、中小企業のバックオフィス業務の効率化を支援している。同社が提供する給与計算と人事労務のSaaS型プラットフォームは、現在約6,000社が利用しており、約15万人がこのプラットフォームを通じて給与の支払いを受けている。顧客の約80%はフランス企業だが、パリだけでなく、ベルリン、バルセロナ、ロンドンにも展開。700名の従業員を抱える企業へと成長している。

タグ: