新しいものづくりがわかるメディア 会えなくても、共創できる——ウィズコロナ時代のハッカソン

イベントレポート

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by 淺野 義弘

2020/06/17 07:30

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新型コロナウイルスは多くのイベントに影響を与えています。複数人で集まり、ものや企画を開発するハッカソンもそのひとつ。物理的に集まることができない状況のなか、オンライン&フルリモートに形式を変えて実施されたハッカソンを取材しました。

Zoomの画面上で、ひたすら回転を続ける人々。

こちらでは、各々が背筋運動にいそしんでいます。

異様にも見える光景ですが、決して劇やフィクションではありません。

これらはすべて、2020年5月5日にオンラインで行われた「第5回 未来の山口の運動会」で取り組まれた競技の一場面。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、運営スタッフや参加者のすべてがフルリモートでの参加となったイベントです。初めての試みにもかかわらず大盛況となった背景には、変化する状況への柔軟で粘り強い対応と、主催者/参加者を隔てず共に作り上げようとする前向きな姿勢がありました。

山口情報芸術センター[YCAM]は、山口県山口市にあるアートセンターです。YCAMはメディアテクノロジーの改変可能性に着目し、それらを用いた新しいスポーツの作り方/楽しみ方を実践するプロジェクトを2015年に立ち上げました。数日間にわたって競技を開発する「YCAMスポーツハッカソン」と、そこで生まれた種目を楽しむ「未来の山口の運動会」には、毎年、地元山口をはじめ全国各地から多くの参加者が集まってきます。

タイトルに「未来の」と付くだけあり、開発される競技は多種多様。モーションキャプチャーシステムやヘッドマウントディスプレイ、レーザープロジェクターといった最新技術を積極的に取り入れ、個性豊かな種目が生まれてきました。

2020年も5回目となるイベントが計画されていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、運営スタッフと参加者の全員が別の場所から参加する、フルリモート形式での開催を決定。物理的な空間に代わって設置されたオンラインの競技場に集まり、仮想のアバターと現実の身体を動かしながら、目まぐるしく変わる画面と共にプログラムが進行していきました。

直接触れ合うことができない制約のなか、家にある本のタイトルでしりとりをする「タイトり」や、お題のキャラクターをスクリーンショットで再現する「あつまれ!どうぶつのコラ」など、場所の自由度やビデオ会議ツールの機能を生かした競技が編み出され、会場は笑いに包まれながら大いに盛り上がっていました。

このほかにも、筋トレの回数をリアルタイムで集計するためのWebプログラムや、雰囲気を盛り上げるMC&DJパフォーマンス、YouTube LiveやTwitterを用いた視聴者とのコミュニケーションなど、多くのツールや工夫の積み重ねで構成された今回のイベント。

YCAM全体でも初めてという完全オンラインでの開催に至るまでには、いったいどのような経緯があったのでしょうか。また、今後も直接人を集めづらい環境が続く中で、ハッカソンや共創はいかに可能なのでしょうか。イベントの運営に関わった方々にインタビューしました。

インタビューに答えてくれたのは、初回からYCAMと共にイベントを運営している運動会協会の西翼さん、YCAMエデュケーターの山岡大地さん、同広報の蛭間友里恵さん、の3人。運動会終了後、オンラインで行いました。

——初めてのオンライン運動会、とても盛り上がりましたね。フルリモートでの開催に至った経緯を教えていただけますか。

——オンラインの運動会は前例がないものですよね。どのように準備を進めたのでしょうか。

——イベントの参加者にも戸惑いはあったと思います。どのようにサポートしたのでしょうか。

新しいものづくりがわかるメディア 会えなくても、共創できる——ウィズコロナ時代のハッカソン

——ファシリテーションにおいて、オンラインだからこそ気を使うべきことはありますか?

——オンライン運動会やハッカソンのようなイベントは今後、どのように展開していくのでしょうか?

「共創を止めたくない」——そんな思いから始まった、前代未聞のオンライン運動会。準備の試行錯誤を支えたのは作る人たちのコミュニティであり、当日はスタッフも参加者も分け隔てなく開発と実践を楽しみました。運動会に参加した人、そしてこの記事を読んだ人の中から、次なる「つくる」活動が生まれていくことを願ってやみません。

YCAM公式ツイッター(@ycam_jp)で公開された「YCAMスポーツハッカソン2020」と「第5回 未来の山口の運動会」の記録映像

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