freeeの「電子申告・申請アプリ」、法人税に対応--e-TaxとeLTAXに対応
freeeは9月17日、スマートフォンのアプリで税務の電子申告ができるサービス「電子申告・申請アプリ」が法人税申告に対応したことを明らかにした。Android版は同日から、iOS版は近日対応予定。
同社 プロダクトマネージャー 高木悟氏(公認会計士)は「3日から1週間(掛かっていた紙申告と比べて)、会計処理終了済みなら2時間程度で(申告が)完了する」と説明した。
マイナンバーカード取得がハードルに
freeeが7月1日から1週間、同社ユーザーを対象にした調査によれば、法人税を電子申告で行う割合は71ポイント(38.2%)、紙による郵送は115ポイント(61.8%)と従来の方法を選択する割合が圧倒的に多い(有効回答数186)。その理由として「慣れている(41.7%)」「電子申告の設定方法が分からない(37.4%)」「マイナンバーカードを所有していない(20%)」という声が並んだ(回答数115、複数選択可)。
国税である法人税を申告する「e-Tax」、地方税である法人住民税と法人事業税を申告する「eLTAX」と2つに分離しているが、申告時に必要となる利用者識別番号の取得率は決して多くない。たとえばe-Tax利用者識別番号は「未着手(57.4%)」が「取得済み(34.8%)」を大きく上回る。
さらに利用時は法人代表者のマイナンバーカードのひも付けが必要となるが、未登録割合はe-Taxが70.4%、eLTAXが82.6%と圧倒的。マイナンバーカードの取得やひも付けといった事前準備を「ハードルに感じている」(高木氏)と分析する。
電子申告・申請アプリのデモンストレーション。PC上で書類を作成し、出力先としてスマートフォンを選択する。左下で解説するのがfreee プロダクトマネージャーで公認会計士でもある高木悟氏電子申告・申請アプリは1月にリリースし、個人事業主のオンライン確定申告が可能になったが、今回新たにマイナンバーカードを所有する中小規模企業のe-TaxとeLTAXに対する電子申告に対応した。以前からPCに接続したICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取っていたが、スマートフォンがICカードリーダーによる認証の仕組みを代替する。
PCのfreee申告で申告書類を作成して、ディスプレイ上に現れた2次元コードをスマートフォンで読み取ると各書類のダウンロードが始まり、そのままe-TaxやeLTAXに電子申告が始まる仕組みだ。
一般的に法人税申告は税理士や会計士に委託するケースが多いものの、「(税理士や会計士の)大半がICカードリーダーを所有しているので(同アプリの利用は)想定していない」(高木氏)。前述した個人事業主の2020年分確定申告は電子申告率が2019年の3.6倍まで拡大したと説明。freeeは法人税でも電子申告率の向上を望んでいる。