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今回の修理内容は以下です。
なお入庫時のオドメーターは83,097kmで、新車保証である8万キロを超えていましたが、7万キロ台の時に状況を申告して、サービスセンターで検証もしていただいているので、問題なく保証修理となりました。なお、リアモーターのほうは「ドライブトレイン」=駆動系部品という扱いになり、この車両では、期間も走行距離も無制限で保証となります。※現在のモデルXでは、新車保証は4年または8万キロ、バッテリーとドライブユニット保証は8年または24万キロのいずれか先に到達したほうに、改悪(!?)されています。まあ新車の部品を8年も保証するほうが普通ではないように思います。
左右フロントドライブシャフト、マウント交換
以前のアッパーコントロールアームはギシギシ音でしたが、こちらは、普段の走行時には異常に気付くことはできません。サスペンションを標準・高・最高にしたうえで、急加速時に異音・異常振動が出るというものです。この件に関してはTSBが出ており、「NVHの問題であり、安全には問題ない」ことが書かれています。※NVH=Noise, Vibration, Harshnessの略で、ノイズ、振動や突き上げ感などを意味します。私の車はいつもサスペンション設定を「超低」にしているので(汗、ほとんど振動を感じることはないのですが、実際に「標準」設定以上にすると振動がありますので、交換していただくことにしました。TSBはリコールではありませんが、保証期間内であれば無償の作業を実施していただくことができます。
修理内容はちょっと長いですが、以下となります。
工賃 | 小計 | ||
---|---|---|---|
Correction: Inspect Vehicle, Replace LH Front Drive Unit Clevis Mount And Both Front Halfshafts (Model X) | 38,750 | ||
部品 | 個数 | 単価 | 小計 |
NUT HF M10x1.25 PC10 PTP COLORED(2007090-00-C) | 2 | 27.78 | 55.56 |
NUT HF M14x2.00 [10]-G720(2007073) | 2 | 92.59 | 185.18 |
BOLT,TE,M10X1.5x48[10.9] U-ZNNI-MP CW(1137112-00-A) | 2 | 92.59 | 185.18 |
BOLT HF M14x102 PC109(1056323-00-A) | 2 | 185.19 | 370.38 |
NUT PLATE ASSY,LHS MTR MNT,SDU-F(1055663-00-A) | 1 | 185.19 | 185.19 |
CLVS ASSY,DBL ISO,LHS MTR MNT,SDU-F(1055366-00-H) | 1 | 21,018.52 | 21,018.52 |
WASHER, NORDLOCK, 15.2x30.7x3.4(1033093-00-A) | 4 | 185.19 | 740.76 |
ATF, QUART(1031106-00-A) | 1 | 2,407.41 | 2,407.41 |
HALFSHAFT, FR RH, MODEL X(1027115-00-D) | 1 | 55,000.00 | 55,000.00 |
HALFSHAFT, FR LH, MODEL X(1027111-00-D) | 1 | 55,000.00 | 55,000.00 |
BOLT HF M14x2.00x50 DP [10.9] ZnAl-W(1009169-00-A) | 1 | 185.19 | 370.38 |
BOLT HF M8x30 PC109 ADH MAT(1008722-00-A) | 4 | 92.59 | 370.36 |
NUT HF M14x1.50 [10] ZnNi NL INSERT(1004358-00-C) | 4 | 92.59 | 370.36 |
NUT HFPT M14-2.00 [10] ZnNi-W(1004356-00-B) | 2 | 92.59 | 185.18 |
NUT HF M10x1.50 [10] ZnAl-W(1004351-00-A) | 2 | 92.59 | 185.18 |
BLT BTNHD M10x1.50x57 [10.9] ZnAl-W(1004350-00-A) | 2 | 92.59 | 185.18 |
修理完了後は、異音はなくなりましたが振動はやはり多少は残っています。さすがにいくらモーターとはいえ、690馬力に耐えるのはちょっと厳しい、、というところなのでしょうか。
リアモーター交換
それは8万キロ前後で、突然やってきました。ある朝、普通に車を走らせるとウィーンという軽快な音。電気自動車ですから普段はタイヤがこすれる音しか聞こえないはず。あれ?と思って窓を開け、路面に異常がないか確認。また車を降りて下回りも確認しましたが、何もありません。そのままゆっくり走行しても特に振動はなく、モーターの回転数に比例して音が変わることから、モーターまたは減速ギア(テスラには変速機はありません)のどちらかあたりから出ていそうだなと感じました。ネットをいろいろ調べてみると、やはりP100Dやパフォーマンスグレードなどのハイパワーリアモーターを搭載する車両で、リアモーターから”milling sound”や”motor whine”と呼んでいる音が発生していることが分かりました。大した音量ではないのですが、実は窓を開けてみると、外では結構大き目の音になっていることが判明。狭い路地などで人が避けてくださるのはありがたいのですが、やっぱり夜などは迷惑になりかねないと思い、修理することにしました。
音はこんな感じです。後部座席のほうが大きな音がするので、後部座席で撮影しました。環境音と比較していただくと、そんなに大きな音ではないことがお分かりいただけるかと思います。
こういう状況の時、通常、テスラでは「仕様」で済まされることが多いです。先ほどの、サスペンションの問題のようにTSBが出ていたり、リコールが出ていれば当然無償交換となるわけですが、安全性に問題のない異音は、程度にもよると思いますが、なかなか認めてもらえないのですよね。今回はもしかすると、特定のロットのモーターに課題があり、もしかしたらテスラが交換したかったのではないかと、勝手に想像しています。テスラはモーターを自社製造していますから、不都合の出た部品を回収して改善しているわけです。これに限らず、部品代を出して購入しているにも関わらず、テスラサービスセンターでの修理時には、故障した駆動系や電気系の部品は返却してもらうことはできません。このあたりも、メーカー直販の癖みたいなものが感じられると思います。恐らく法的には、サービスセンターで販売する部品の価格は、交換した部品の下取り込み、という建付けになっているのだと考えられます。
モデルXのオーナーさんではすでに15万キロも、このリアモーター異音が出っぱなしの状態で乗っている方がいらっしゃり、テスラもそれを放置しているということは、安全性には問題ないのは事実なのでしょうね。
さて交換した部品です。
工賃 | 小計 | ||
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Correction: General Diagnosis | 6,250.00 | ||
Correction: Drive Unit - Rear - Large (Remove &Install) | 68,125.00 | ||
部品 | 小計 | ||
ATF, QUART(1031106-00-A) | 2 | 2,407.41 | 4,814.82 |
COOLANT, TESLA G-48 GALLON(1029320-00-A) | 1 | 2,870.37 | 2,870.37 |
Side Motor Mount Assembly(1028034-00-B) | 1 | 8,796.30 | 8,796.30 |
ASY,P-TRAIN,RMN,MDLS,SPORT,CMC,HS(1025598-00-T) | 1 | 813,090.91 | 813,090.91 |
WASHER SAFETY M24x39(1020296-00-B) | 2 | 370.37 | 740.74 |
肝心のモーターの型番はコレ。ASY,P-TRAIN,RMN,MDLS,SPORT,CMC,HS(1025598-00-T)「-T」というのがリビジョンで、最初はAから始まるので、何度も改良(いや作り直し??)されてきたパーツだということが分かります。そしてRMNの文字も。RMN=Remanufacturedで、修理品ですね。これもテスラではたまにあります。通常の自動車メーカーではあり得ないのではないでしょうか?テスラではモーターを、ラインも自社で持って自社製造しているので、初期のモデルS/X(モデルSは2012年発売)からどんどん改良が続いているのだと思います。そうやって、ノウハウを蓄積しているのでしょうね。壊れた部品をエンジニアが解析、改良して再度市場に送り出し、またそれが壊れて戻ってくる。ある意味実験に付き合わされている?という言い方もできますが、逆に、それだけ最終的には高い品質のものが手に入るとも言えます。ハードウェアを、ソフトウェアの品質向上の方法で改善しているように見えますね。
ということでこちらは交換後、すっかり静かになりました。びっくりです。
フロントタイヤ交換
オドメーター8万キロ、今回は2回目のフロントタイヤ交換です。前回のフロントタイヤ交換は2019年9月、41,576kmで、今回は2021年6月、83,097kmでした。スタッドレスタイヤが1万キロくらいと考えれば、フロントタイヤの寿命は3万キロくらいでしょうか。前回はスリップサインまで0.5mmまで使いましたが、今回は一番溝の浅いところで、スリップサインまで1.3mm=溝の深さ2.9mm。このくらいになると、ちょっとした雨は問題ないですが、大雨の高速道路などでは場所により、高い速度ではハイドロプレーニングが発生します。
四輪駆動なのと、電気自動車なのでハイドロプレーニングが発生してもそのまま走れちゃうのは驚きなのですが、せっかく入庫するのですし、ケチらず交換しました。安全第一ですね。
さて、前回の記事には書きましたが、このサイズ265/35R22(なんと22インチ)ともなると、普通のお店ではほとんどお取り寄せになります。またお値段もそれなりに高い。普通の激安ではないタイヤ量販店等では、1本6万円以上になることもあります。そして、これもメーカー直販のメリットでしょうか。テスラは、車両と同時に、タイヤも米国から輸入してくれています。そのため、テスラ純正(TO=Tesla OEM)タイヤの在庫がサービスセンターにあり、割と安価で交換できちゃうのです。今回はTPMSはそのまま移植にしました。
夏タイヤは1種類しか選択肢がなく、グッドイヤーのEagle F1 Asymmetric 3 TO SoundComfortです。SoundComfortというのは静音タイヤで、走行時のロードノイズを抑えるスポンジがタイヤ内部に入っています。お値段は税抜32870.37円。上のリンクのTireRackは米国の一般的なディスカウント価格で$264.99、本日のレートで29,519円。11%強しか上乗せされておらず、とても良心的ですね。Tire Disposalというのは廃タイヤ処分費用です。交換工賃が高いのは(大汗
工賃 | 小計 | ||
---|---|---|---|
Correction: Tires - Front - Set | 11,120.00 | ||
部品 | 小計 | ||
265/35R22 102W S GOODYEAR EAGLE F1 3 TIRE(1027254-00-B) | 2 | 32,870.37 | 65,740.74 |
Tire Disposal Fee(1025331-00-A) | 2 | 277.78 | 555.56 |
合計 | 77416.30 |
ファルコンウィングドアの接触部のタッチアップペイント
モデルXの後席ドアは、横ではなく上に開くファルコンウィングドアとなっています。ガルウィングと良く言われるのですが、ガルウィングは関節が一つ。L字型のまま上にはね上げるので、開くときに横幅が大きく必要になります。ファルコンウィングは2関節となっており、ドアの付け根に加え、左右の端のところも曲げることができるので、ドアが開くときの横幅を通常のドアより狭く抑えることができます。閉じるときは、開くときの各ヒンジの開き具合を記憶しており、同じ軌跡を通って閉じるので、開くときにぶつからなければ、閉じるときにぶつかることはありません。また車両の屋根中央部に高さセンサーがあり、直前に走行してきた最低の高さを記憶しているので、地下駐車場のように天井の高さが変化しても、最も低かったところに合わせてドアを低く開くよう制御されます。
と、メリットは多いファルコンウィングドアなのですが、やはり当初から言われていたように、ドアが重すぎて、いくらパワフルなモーター、しっかりした鋼材が入っているドアでも、精度が十分出ておらず、閉まるときに多少ボディ側と干渉してしまいます。私のクルマはチリは割と合っているほうですが、モデルXではこのドアとボディの干渉はある程度は諦める必要があります。こんな感じ。シールは以前貼ってもらったもの。今回はタッチアップペイントを無料でやってもらいました。
(安川 洋)