アップルウォッチよりも先に腕時計の常識を変えた!?新興国産ブランドの戦略

業界の常識にとらわれない発想で成功した、新興腕時計メーカーの戦略とは? 写真:新潮社提供

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。

業界の常識にとらわれない発想で成功した吉祥寺発の腕時計ブランド「Knot」

 唐突だが、読者の皆さんは、ふだん腕時計を着けているだろうか。また、「着けている」という方の中に、「ベルト」にこだわっている方は、どれくらいいらっしゃるだろうか。

アップルウォッチよりも先に腕時計の常識を変えた!?新興国産ブランドの戦略

 腕時計は、もちろん時間を見るためのものだが、ファッションアイテムの一つとして身に着ける人も多いだろう。また、かつてバブル期の日本で「ロレックス」のブームがあったように、社会的ステータスや金持ちであることを誇示するのに、高級時計を着ける人もいる。その点ではジュエリーと似た位置付けなのだろう。

 カジュアルな腕時計としては、1990年代を中心に「G-SHOCK」旋風が吹き荒れたのを覚えている人も多いはずだ。さらに、ほぼ同時期に「スウォッチ」も大流行した。

 2015年にアップルが初代のApple Watchを発売する前後からは、スマートウォッチを使用する人も増えているようだ。かく言う私もApple Watchを愛用している。

 Apple Watchの登場で新鮮だったのは、ベルト(バンド)を付け替えられることだ。別売のベルトには、ウレタン製のスポーツバンドやレザー、布製など、さまざまな純正品や他ブランドのものが売られている。初代発売時には本体と合わせて200万円を超えるものもあった。

 それ以前の腕時計は、ロレックスなどの高級時計でも、G-SHOCKやスウォッチにしても、時計本体とベルトは一体のものとしてデザインされ、売られていた。どちらかというとベルトは添え物であり、そこにこだわって時計を選ぶ人はほとんどいなかったに違いない。

 その意味でApple Watchの「ベルト付け替え」は、私にとって新鮮だったわけだが、実は、Apple Watch発表より少し前に、その発想により成功した新興腕時計メーカーがある。2014年に東京・吉祥寺で創業した「Knot(ノット)」である。

 Knotは、ネットや実店舗で若者を中心に絶大な支持を集め、現在は国内11、海外5店舗のギャラリーショップ、国内3店舗のコンセプトショップを展開するに至っている。

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