パスワード管理の1Passwordが1億ドル(110億円)の大型調達、ソリューション拡大へ | BRIDGE(ブリッジ)テクノロジー&スタートアップ情報

パスワード管理プラットフォームの1Passwordは、アクセルがリードするラウンドで1億ドルを調達した。今回の資金調達はカナダが生んだこのスタートアップの新たな製品群と共に公表されることとなった。

新たな製品として企業の情報インフラを保護する機密管理への拡大、セキュリティチームが1PasswordのサインインデータをSplunkなどのサイバーセキュリティツールに直接取り込むことを可能にする新しいAPI、そしてDevOpsチーム向けの新しいLinuxデスクトップアプリなどが公表されている。

1Passwordが解決しようとしている究極の課題は、データ漏洩の大部分がパスワードの漏洩によるものだということだ。1Passwordは、Slack、IBM、GitLabなどの企業をターゲットに、ユーザーがパスワードを安全に保管し、ワンクリックで無数のオンラインサービスにログインできるプラットフォームを提供している。また、ソフトウェアのライセンスやクレジットカードの詳細など、その他のプライベート文書の保存にも利用できる。

トロントを拠点とする同社は2019年に当時、14年の歴史の中で初めての資金調達を実施し、Accel、Slack(Slack Fund経由)、Atlassianの創業者などのエンジェル投資家から2億ドルを調達した。それから約2年間で、有料のビジネス顧客数は約2倍の9万人に達し、年間経常収益(ARR)も1億2,000万ドルを達成したという。

1PasswordのCEOであるJeff Shiner氏によると、パスワード管理ツールへの需要はさまざまな要因が絡み合って高まっているが、前回の資金調達以降の最も大きな変化は、社会がオフィスからリモートワークやハイブリッドワークへと急速に移行していることにあるという。

従業員がすべてのログイン認証情報を常に把握できるようにするために1Passwordは役立つ

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パスワードの根本課題

数多くの企業が、いわゆる「パスワード問題」に取り組んでおり、電子メールで送信される「マジックリンク」や生体認証を活用してそもそものパスワード自体を完全に取り除こうとしている。先週、分散型パスワードレス認証プラットフォーム「Magic」が2,700万ドルの資金調達を発表しているが、その直後に「Transmit Security」が23億ドルの高額評価で5億4,300万ドルを調達し、「Beyond Identity」が7,500万ドルの調達を発表している。他にも、5月にOktaがAuth0を65億ドルという破格の金額で買収したことで、アイデンティティ・アクセス管理(IAM)分野の2つの巨大企業が手を結ぶこととなった。

一方、1Passwordは、AppleのTouch IDやFace IDと連携して、指紋や顔で1Passwordのロックを解除できるようにしたり、Yubikeyなどの2FAハードウェアキーをサポートしたりするなど、さまざまな形でパスワードレス認証を取り入れている。また、Shiner氏は、今後数カ月のうちに発売されるであろう、パスワードレス認証に関連した新製品の可能性も示唆している。

しかし同時にShiner氏は、真にパスワードレスの未来を実現するためには、いくつかの課題が残っていると指摘する。

パートナーを求めて

Shiner氏によると、同社は十分な利益を上げており、新たな投資を積極的に求めているわけではないという。しかし業界を超えた無数の新しい投資家(彼はこれを「パートナー」と呼ぶ)を迎え入れる機会を得たことは大きな価値だったと語る。

実際、今回の資金調達では、Ashton Kutcher氏のSound Ventures、 Kim Jackson氏のSkip Capital、Slackの共同創業者兼CEOのStewart Butterfield氏、ShopifyのCEO Tobias Lutke氏、SquarespaceのCEO Anthony Caselana氏、Eventbriteの共同創業者であるKevin Hartz氏など、多くの機関投資家やエンジェル投資家が新たに参加している。

今回の資金投入は、13億ドル規模のパスワード管理市場でのシェア拡大に向けて、同社がさらなる飛躍を遂げるためのものになりそうだ。Shiner氏はこうメッセージを送った。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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