【サイドドアがない】ピニンファリーナ 自動運転車コンセプト発表 ARディスプレイ搭載

後部から乗り込む移動式リビング

text:Jack Warrick(ジャック・ウォリック)translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

イタリアの自動車デザイン会社ピニンファリーナは、スイスのWayRay社と共同で、ホログラフィックなAR(拡張現実)ディスプレイを搭載したコンセプトカーを発表した。

サイズは全高1400mm、全長5400mm、全幅2200mm。いわゆるスケートボード・プラットフォームをベースとするこのクルマは、ピニンファリーナ初の100%バーチャル開発のコンセプトカーで、「テオレマ(Teorema / 定理・定式の意)」と名付けられている。

剛性確保と軽量化のために、サイドドアが存在しない。その代わりに、乗客はクルマの後部を通り、可動式のフロアに導かれて座席に着く。

 【サイドドアがない】ピニンファリーナ 自動運転車コンセプト発表 ARディスプレイ搭載

走行モードは、自動運転を行うオートノミーモード、ドライブモード、そして車内がソーシャルな空間となり、乗客が好きな位置に移動できるレストモードの3種類がある。5つのシートは1+2+2のレイアウトになっており、選択したドライブモードに応じて調整することができる。

ピニンファリーナは、このコンセプトのインテリアを「リビングルームに入ったような感覚」と表現している。運転席を含むフロント3席は、他の乗員と向かい合うようなラウンジ風のポジションに変更することが可能だ。

クルマに乗る喜びを取り戻す

同社のチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるケビン・ライスは、次のように述べている。

「ピニンファリーナは、常に未来を見据え、自動車業界におけるユーザビリティやテクノロジーの方向性を示し、新しいビジョンを導入するための革新的なツールとしてコンセプトカーを使用してきました」

「特にテオレマでは、渋滞や交通事故の増加などのフラストレーションを省き、AIや5G、最新のテクノロジーを統合して、旅の途中で乗客を新たな驚くべき体験に向かわせることで、クルマに乗っていること、運転すること、旅行することの喜びを人々に取り戻したいと考えています」

テオレマには、WayRay社が実装したARヘッドアップ・ディスプレイが採用されており、先進運転支援システム(ADAS)やナビゲーションを活用して、有用な交通情報を提供し、潜在的な事故のリスクに対して警告を発する。乗客は、環境、地元の観光名所や風景、旅行の詳細やゲームなどに関連するコンテンツを閲覧することができる。

テオレマ自体はすぐに市販化されることはないと思われるが、WayRay社によると、このクルマに搭載されているAR技術の多くは、将来的に実用化される可能性があるようだ。

画像 ピニンファリーナの「定理」【テオレマ・コンセプトを写真で見る】 全123枚

タグ: