ニュース 走り出す前の動作でも「異変」はわかる! 家族が高齢者に「免許返納」を促すべき「チェックポイント」とは

高齢者ドライバーが運転を続けていいと境界線とは

サポカーに頼っていいのは最低限の安全確保が自分でできる人だけ

ニュース 走り出す前の動作でも「異変」はわかる! 家族が高齢者に「免許返納」を促すべき「チェックポイント」とは

 高齢者がいつ運転免許証を返納するか、時期をはかるのは難しい。自ら決意することは、よほどの勇気がいる。家族との話し合いのなかで、クルマに代わる移動手段の情報収集など含め、時間をかけて納得していくしかないだろう。【写真】乗り降り「楽ちん」なミニバン5台! 1つの判断材料として、運転者自らのみならず、家族の目から見た運転操作への気付きとして、いくつか参考になることがあるかもしれない。 まず、教習所で教わったとおり、クルマに乗り込むところから安全に配慮しているかどうかだ。運転席のドアを開けるとき、駐車場ではクルマの周囲に注意が払われているか、路上であれば後続車などの存在を確認しているか、そうした気持ちの余裕を持てているかは、その後の運転操作を含め重要なことだ。急いで突然ドアを開けてしまうと、接触などを起こす可能性がある。高齢者は視野も狭まっており、思わぬところに人や物があったりする。乗車前の急かされているような様子に、運転することへの危うさを予見することはできるだろう。 次に、運転姿勢を正しくとっているか、ルームミラーやドアミラーの見え方を確認したか、そうした準備もないがしろにしていると、いざというときの安全確認ができなくなる。鉄道の運転士や、プラットフォームの駅員などが安全確認のために行っている、指差し確認を採り入れるのも一つ安全確保に役立つかもしれない。 実際に指を差してやれば一番いいが、そうでなくても心の内で指差し確認を行うように、一つひとつの準備動作を的確に行っていくことで、運転への準備が整い、また運転者自身の安全運転への意識を再確認することにつながる。 走りだす際には、ウィンカーで合図を出しているか。改めて目視やミラーなどでクルマの周囲の安全確認をしてからアクセルペダルを踏んでいるか。いきなり速度を上げるような運転になっていないか。 ゆっくり走り出すことも、運転への準備運動といえるだろう。そのうえで、信号の見落としはないか。一時停止では、停止線できちんと一旦停止し、数秒止まってから発進しているか。 要は、法令順守ということなのだが、数十年に及ぶ運転経歴から、ひとつひとつの運転操作の仕方が曖昧になり、確認したり意識したりという行為がないがしろになることが、事故につながりやすい。 そうした確認や意識することに数秒の時間を要したとしても、事故となって何時間も現場検証で拘束されたり、何日も賠償のために時間を費やさなければならなくなったりすることを思えば、わずか数秒の安全確認は、どうということのない時間だ。それでも、人間はコンマ数秒の時間を認識できるので、数秒という時間さえ、じれったくなるものだ。高齢になり、気が短くなるとなおさらかもしれない。 だが、安全にクルマの運転を続けるための対処法だということを、運転者に理解してもらうことが大切で、そこは家族も協力できることではないだろうか。注意すればわかるはずということではなく、互いに納得する対話が不可欠だ。そのうえで、万一の事故を予防する機能が、運転支援装置であると考えるのがよい。サポカーであれば、どんな運転の仕方でもかまわないということではない。

御堀直嗣

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