ニュース 中古販売も無理なクルマの最後は? 自動車メーカーもかかわる「廃棄の流れ」とは
廃車の際はリサイクル券が必要になる
最終的にはシュレッターダスト類となる
一般のゴミなどは収集されると、燃えるものは焼却され、リサイクルが可能なものは溶かしたりして再利用されるというのは想像できる。クルマの場合はなんとなく「もう廃車ですね」となるだけで、引き取られたあとはどうなるのかあまりイメージできないのではないだろうか。せいぜい解体屋に運ばれて、バラバラにする程度だ。ただ最近はリサイクル券の購入が必須になっていることから、リサイクルはある程度されていることはわかる。【拡大写真】クルマの「リサイクル券」 リサイクル券は歴代ユーザーが費用をバトンタッチしていくもので、最後に廃車にするときに最終的にリサイクル料金として負担することになる。リサイクル料金というと、解体して鉄なら溶かすための費用のように思えるが、実際に料金が使われるのはエアコンに充填されているフロン類、エアバッグ類、シュレッダーダスト類の3つとなる。 解体の費用などは中古部品そのものや、金属はリサイクル素材として使えるので、これらを販売してまかなうが、当然、無理な場合もあって、そうなると引き取り費用が別途請求されることになって、実際に支払った経験がある人もいるだろう。 ただ、最近は金属の価格が上がっているので、逆にお金がもらえることもある。「無料で引き取ります」という看板をガソリンスタンドなどで見かけるが、実際は引き取った車両を販売して利益を出している。つまり近所に解体屋があれば、直接持ち込めばいくばくかのお金がもらえる可能性はあるというわけだ。 話を戻して、引き取られた車両のゆく末はというと、まず自治体に登録をして許可を受けた業者(ディーラーや整備工場など)が引き取って、それをまずフロン類回収業者がエアコンからフロンを抜き取って処理。抜き取られたフロンはメーカーやインポーターに引き渡される。 その次に解体業者に運ばれて、エアバッグ類を抜き取って回収しつつ、ボディバネルやエンジンなど、中古部品として流通可能なものを取り外す。その残りは粉砕業者が粉々にして、そのうえでリサイクルできる金属や樹脂、ゴム類は取り除いて、最終的には直接的な用途がないシュレッターダスト類となる。基本的には解体と粉砕は別の業種となるが、ひとつの業者で可能なこともある。 シュレッターダスト類とエアバッグ類は、フロン類と同じように自動車メーカーやインポーターに引き渡されて1台のクルマは完全に処理が完了する。意外なのは、自動車メーカーが最後まで関係していることで、リサイクル料金はメーカーが決めているのはこのためでもある。いずれにしても、クルマは完全に明確な手順で処理されているというわけだ。
近藤暁史