ニュース コロナ禍、40代からはじめても「勝てる副業」の見極め方
時代遅れになった副業も。最新トレンドを要チェック
ウーバーイーツは人気だが、体力的にハード。体力仕事に自信がない人は、本業や趣味を生かした副業がオススメだ
◆「副業ウェーブ」に乗り遅れてはいけないコロナ禍での減収や将来の不安から、会社員の副業への関心が高まっている。【図表でわかる】40代、50代からの「勝てる副業」はこれだ!「働き方改革によって会社員が副業をしやすい環境が整いつつある中に、コロナ禍がやってきました。会社の業績悪化で残業代やボーナスがカットされるなど、このままずっと同じ会社に勤めているだけで自分の将来は大丈夫なのかと危機意識を持つ人は少なくないのです」そう話すのは、有限会社いろは代表取締役で『日本一カンタンな「副業」と「お金」の教科書』著者の竹内謙礼氏。大企業に勤めていてもけっして安泰とは言えない時代だ。副業は経済不安を軽減し、人生のリスクを分散させるための有効な手段なのである。パーソル総合研究所が今年3月に経営層・人事関係者に実施した調査では、55%の企業が正社員の副業を容認しており、企業側も副業を一般的なものとしてとらえ始めていることがわかった。これまで、サラリーマンの副業といえば、安く商品を仕入れて価格差をつけて転売する「せどり」や、ブログで広告収入を得る「アフィリエイト」などがメインだった。ネットショップやブログ運営なら会社から帰宅した後、自宅でスキマ時間に作業できるためだ。しかし、参入者が増えたことで、競争が激化してしまった。購入者や閲覧者が分散し、客を捕まえにくくなっているうえ、単価も下がってしまい、なかなか利益に結びつきづらくなっているのが現実だ。では、副業がまったく稼げなくなったかと言えば、そうではない。まず、『ココナラ』といった個人のスキル売買を仲介するビジネスマッチングサイトも台頭してきた。会社員でも自分の持つスキルを生かして、時間や場所にとらわれない働き方が選べるようになり、本業と並行してできる副業の幅は拡大した。また、SNSの普及で誰もが簡単に情報発信でき、その投稿に反応する形で個人や企業から直接仕事を受けられるようになっている。副業の社会インフラはここ数年で急激に整ってきたといえる。これまで後ろめたさもあった副業が社会全体で容認され、副業インフラが整いつつある中で、今この波に乗らない手はない。「スキルアップしたい」「やりたいことをして楽しく暮らしたい」「将来仕事がなくなるかもしれない」。そんな今のあなたの持つ不安や希望を、副業が解決してくれるかもしれない。40~50代からの「勝てる副業」を伝授する。◆すぐおカネになる時給系か、時間がかかるネット系か◆副業は全部で7ジャンル目的を決めて選ぼう副業の必要性を感じてはいるものの、何を選べばいいかわからず二の足を踏む人もいるだろう。「副業がうまくいくかは、ビジネスモデルの良し悪しよりも、本人の生活環境に左右されやすい。就職や転職よりも自分に合った仕事を探すのが難しい面があります」(竹内氏)まず、世の中にどのような副業があるのか把握することだ。副業の種類は、下の図のようにリターン、リスクによって大きく7つに分類できる。ハイリスク・ハイリターンなのは、③「商売の副業」と⑥「投資の副業」。前者だと、飲食のフランチャイズは当たれば大きいが外せば大損。ネットショップのほうがリスクは小さいのでオススメだ。比較的ローリスクでハイリターンの可能性があるのが、②「仲介の副業」、④「本業を生かした副業」、⑤「趣味を生かした副業」。竹内氏が勧めるのは、④と⑤だ。そもそも専門職の人がそのスキルを生かす、自分の趣味で稼ぐということなら、精神的なプレッシャーや時間面での管理が比較的しやすく、長続きするからだ。ハイリスク・ローリターンで「お勧めしない」と竹内氏が言うのが①「時給系の副業」。半年以内に50万円貯める必要があるといった場合には、レジ打ちやデリバリーなど、働いた分だけすぐに収入が得られる時給系の副業もアリだ。ただ、これらの仕事は時間の切り売りのため、無理をすると体調を崩しかねない。ローリスク・ローリターンではあるがデータ入力作業などの⑦「代行の副業」のほうが、納期さえ守れば時間管理は自分でできる場合も多い。「商売」「仲介」「本業」「趣味」などは、ネットを使って顧客を探すことが多い。そのため、ネットを使いこなせないと発注が来ない、お客がつかず稼げないなどで、早々に諦めてしまうケースもよくあるという。「日中は本業で身を削って働いているからこそ、稼ぐこと以外の目的がなければ副業は長続きしにくいです」(竹内氏)副業の際、心得ておきたいのは本業を疎(おろそ)かにしてはいけないということ。そのうえで、自分の将来性やスキルアップを目的に長い目で副業に取り組むこと。最初の3ヵ月は収入ゼロでも落ち込んではいけない。そこでの努力が、本業や将来に生きることも大いにあるのだ。◆①時給系の副業 夜なら「飲食系」だが、コロナで壊滅。ワクチン接種予約受付がオススメ◆コロナで環境は激変古くて新しい副業が吉自分のスキルや新しい可能性を副業に求めるのが潮流とはいえ、今、目の前で現金が必要で、副業をしたいという人もいるだろう。これといった専門分野がないなら、手っ取り早いのは「時給系の副業」だ。平日の夜に副業をしようと思うと、これまでの鉄板は飲食店のバイトだった。しかし、コロナ禍で現在の求人は壊滅状態となっている。今募集が多いのが、「ウーバーイーツ」や「出前館」などのデリバリーの仕事。こちらは業務委託契約が主流で、一件あたり200円~1000円の収入。平日・土日を問わず、自転車かバイクを用意すれば、すぐに始められるのが魅力だ。自転車利用という点では、早朝4~7時などの朝刊新聞配達も古くて新しい時給系の副業だ。一日4500円ほどの収入になるが、体力に自信がある人向け。実際に副業した人が「半年で5㎏痩(や)せた」と話している。同じくお馴染みなのはコンビニ店員。「タウンワーク」などに多数掲載されている。夜勤については週3日、8時間勤務など条件つきの場合もあるが、交渉次第で勤務体制の融通は利きやすい。土日のみの勤務に対応してくれることも。今だからこその時給系の副業が「コロナワクチン接種の予約受付業務」。電話をとって、簡単な入力をしていくシンプルな仕事だ。コールセンターでの受付業務の一種だが、短期集中でがんばりたい人は、応募してみるといいだろう。そもそも、コールセンター勤務の求人は、夜勤を募集しているケースが多い。コンビニのように必ずしも自宅の近所で探すことができるわけではないが、比較的近所に勤務地がある求人を探してみるといいだろう。女性の応募が多いというが、スキマ時間、スポット勤務として注目なのは子ども関連事業。朝晩の保育園や学童の出迎え・見送り、保育園や学童の夜シフトの補助員などだ。送迎業務は、ベビーシッター会社や地域のファミリーサポートセンター、社会福祉協議会などに登録すれば、朝だけ、週1回などでも発注がある。保育園や学童の補助員もとくに資格は必要なく、18~20時など比較的短時間のシフトを募集している場合もある。今は公立より民間経営が主流なので、タウンワークなどに多数の求人が掲載されている。子どもの扱いに慣れているなら、男性でも応募してみるといいだろう。警備や夜間工事の交通誘導員の仕事も単発、週1回などでもOKだ。学生時代にバイトしていたといった経験者、交通誘導警備業務2級の有資格者だと優遇される。このように時給系の副業は意外と幅広い。ただし、長時間拘束をされるため、平日昼間に会社の業務をこなしたうえで、さらに副業に時間を割(さ)くのでは、体を休める暇がなく、それこそ体を壊すだけだ。収入のためなら、「50万円貯めるまで」「月収3万円UP」などルールを決めること。あるいは、将来コンビニを開業したい、定年後は警備会社で働きたいなど、目的をもって当たることもモチベーションになるだろう。◆②仲介の副業 代表的なのは「アフィリエイト」◆アフィリエイトは苦戦多数 ネットショップ立ち上げも企業と客を仲介する副業全般を指す。代表的なのは、インターネット広告の配信方式の一種である「クリック報酬型広告」「成果報酬型広告」。ブログやSNSで製品やサービスを紹介し、報酬を得るいわゆるアフィリエイトだ。アフィリエイトで収入を得るなら、下表のようなASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)配信サイトに登録。その中から広告を選んで、自分のブログ等で配信していくとうまく反応してくれた読者がいると、収入を得られる。ただし、「アフィリエイト市場調査2019」によると、月3万円以上の収入がある人は6.6%、月1000円未満が70.2%というから、その厳しさがわかるだろう。それならば、例えば知り合いが店舗営業をしているなら、ネットショップの立ち上げをし、商品をオンライン販売。売れたら仲介手数料を受け取るといったビジネスのほうが有望だ。客集めや商品の見せ方の工夫などをして、自分のスキルを磨け、オンラインマーケティングのノウハウも積める。ネット上に仲介サイトを開くなら、仕入れがいらず、ローリスクで済むメリットも大きい。半面、知らない企業とパートナーを組み、仲介手数料や役割分担のルールを曖昧に進めると、うまく手数料が回収できないといったトラブルになる可能性もある。自分の知り合いベースで仲介の提案をすることから始めよう。◆③商売の副業 アイディアを生かして「ネットショップ」も◎◆自分のネットショップをローコストで立ち上げ商売の副業とは、ネットショップを自分で運営したり、飲食店やネイルサロンに出資してオーナーになったりという、ビジネスそのもので副収入を得ること。後者はリスクが高く、狙うのは前者だ。ネットショップというと、アマゾンや楽天に出店すると高い手数料を取られ、実入りが少ないのがデメリット。かといって、自分でサイトを立ち上げても、客を呼び込む術がない。しかし、最近は「ショッピファイ」というECサイトサービスが生まれ、サーバーやネットワーク管理、決済手段導入の手間もなく、ローコストでネットショップを立ち上げられる。あとは、インスタグラムやツイッターを毎日更新し客を集める。ニッチな店で、大きな売り上げを求めなければ、勝ち筋を探ることができる時代になっている。自分の趣味を絡めるとよりいいだろう。販売するのは、モノだけでなく、自分で書籍を制作して売り、ついでにオンライン講座をするなど、複合的な展開も可能だ。◆④本業を生かした副業 クライアント探しはまずは登録から◆第一歩は仲介サイトの登録 世の中のニーズを探る今、本業の能力を他の企業や個人に提供する副業が有望だ。システムエンジニアやコンサルティング、ネット広告の運用やマーケティング、経理や人事など、本業で培(つちか)ってきたスキルをそのまま副業にも生かす。自分に何ができるのか、お客はどう探すのか、と悩んでしまうと思うが、まずは、左表の仲介サイトに登録してみることだ。「ランサーズ」「クラウドワークス」は数ある案件から、自分で応募するタイプが主流。「ココナラ」は業種を選んでPRを出し、受注先に選んでもらう形だ。例えば、人事の仕事をしているなら、募集案件の中から単発募集などに応募し、経験を積もう。並行して、友人などに自分ができる仕事をアピールして、口コミで仕事探しをするのも忘れないことだ。本業で培ったスキルを誰かに教えるのも一つの副業になる。パワーポイントでのプレゼン資料の作り方をテキストにまとめ、自分のHPを開設してネット販売したり、レッスン内容をYouTubeに公開したりすることなども、当たればどんどん拡大させることもできる。ただし、本業を生かした副業は誰にでもできるわけではない。エンジニアや専門分野のコンサルタントなど、独自のスキルや豊富な人脈を持っている人であれば、高い報酬を得ることも可能だ。しかし、本業が特別なスキルを要さない営業や接客業の場合、よほどの実績がなければ副業として成立させることは難しい。◆⑤趣味を生かした副業 イラストや漫画、スポーツ、司会なども対象◆まずは客観的評価を受ける うまくいけば常連がつく趣味を生かした副業とは、イラストや漫画、文章や写真など、趣味を通じて得たスキルを生かした副業のこと。趣味を副業とする際、自分の実力で仕事が取れそうか、第三者の意見を聞くことが重要だ。クリエイティブな仕事は、評価基準が明確ではないため、自分の作品について率直な意見を言ってくれるアドバイザーを持っておくと良いだろう。また、賞やコンテストに応募して、客観的な評価を得ることも、ブランディングのうえでは大切。良い結果を残せば、「この人に仕事を頼んだら大丈夫」とクライアントの信用度も高まり、単価アップにもつながっていく。ただし、仕事を引き受ける際に、「所詮アマチュアだから」と請け負った案件に手を抜いてしまうことは絶対にNG。趣味の延長とはいえ、仕事を頼んだ立場としてはアマチュアもプロも関係はない。そのため、自分が本業で仕事をしているときと同じように、準備をしっかり行い、アフターフォローまで手を抜かない。納期を守ることも必須だ。仕事の見つけ方としては、まずはクラウドソーシングサービスに登録してみることだ。なかでも「ココナラ」は、掲載案件のバラエティが豊富で、作品を掲載し、自己PRを上手に展開して発注を待てばよい。慣れてきたら「ココナラ」を起点に「ランサーズ」「クラウドワークス」などのサイトにも登録し、SNSでの発信なども駆使しながら、積極的に案件を獲得していこう。2回目の指名が入れば常連客で回していけるようになる。◆⑥投資の副業 空いた時間で株式や不動産投資に挑戦◆守らなくてはいけない「3つのポイント」とは投資の副業は、在宅かつ限られた時間内でできるため、会社勤めで多忙な人に適している。投資対象としては、株式投資のほか、FX(外国為替証拠金取引)、暗号資産(ビットコインなど)など勉強してみて、自分に合っていそうなものを試そう。投資塾などで学ぶのも一案だが、「確実に勝てる」などの売り文句を安易に信用してはいけない。初心者が副業で投資する場合、3つのポイントがある。1つ目は、分散投資すること。株式や投資信託なら業種や地域、為替なら国を分けよう。2つ目は、無駄なコストはできるだけ小さくすること。大手証券会社に比べて手数料の安いネット証券の活用がおすすめだ。3つ目は、長期的な視野を持つことだ。これらのポイントはけっして忘れてはいけない。◆⑦代行の副業 データ打ち込みやペット散歩、チラシ配りも◆単純作業で気楽に!アナログ仕事もあり代行の副業は、データ打ち込みや動画編集など、コツを覚えれば誰でも簡単にできるような業務のこと。手軽にお金を稼げる半面、誰にでもできる仕事で、いくらでも替えが効くため、クライアント側に重宝されるには、スピーディで正確な仕事が求められる。最初は、単価が低く、手数料を取られても、「クラウドワークス」などの仲介サイトから仕事を取って様子を見ること。その後、SNSなどを活用しながら、直受けの仕事を増やし、利益率を上げていく工夫が必要だ。ネットからの発注なら、納期さえ守れば、自分で時間コントロールができる点はメリットだ。ネットを介さず、口コミなどでペットの散歩や掃除を受注するといったアナログな仕事も意外と穴場だ。『FRIDAY』2021年9月24日号より取材・文:酒井富士子、白石 悠(回遊舎)、永井志樹子
FRIDAYデジタル