ニュース クルマのドアノブ「フラップ式」復権? グリップ式が主流も多様化 もはや“ノブなし”も

あれ? BMWの新型にフツーのフラップ式ドア…

BMW iXのドア。シンプルなフラップ式(画像:BMW)。

ニュース クルマのドアノブ「フラップ式」復権? グリップ式が主流も多様化 もはや“ノブなし”も

 クルマのドアノブといえば、バーを上から握って引っ張るタイプの「グリップ式」が主流です。かつて日本で多かった、下から手を入れて引き上げるタイプのシンプルな「フラップ式」は、商用車では健在なものの、乗用車での採用は少なくなりました。【どう開ける】ドアノブなし車ほか 写真で見る グリップ式はもともと欧州車で多くみられ、それが“日本車との違い”として語られることもありました。このため、グリップ式のドアにどことなく高級感を覚える人も少なくないようです。 ところが、BMWが2021年の新型2シリーズクーペや、4シリーズグランクーペ、そのEV(電気自動車)版である2022年のi4と、相次いでフラップ式のシンプルなドアノブを採用しています。なぜいま、フラップ式なのでしょうか。 これについてBMWのプロダクトマネージャーである岩崎 格さんはi4の発表会にて、「ドアパネルの凹凸を減らしてスッキリさせることで、空力性能もよくなる」と話していました。 BMWに限らず、フラップ式は、外に出っ張ったバーを排してドアパネルと同化させるような配置も可能なことから、たとえばホンダNSXやS660など、一部のスポーツモデルで採用されています。 さらに近年は、後部ドアだけフラップ式というものも。ホンダのヴェゼルや、トヨタC-HR、スズキのスイフトなどは、後部のドアパネルではなく、窓枠に一体化する形で、やや高い位置にフラップが配されています。これらはいずれも、スポーティなクーペ風のルックスを強調するため、などと説明されています。

安全性だけじゃない グリップ式からフラップ式へ

ホンダ ヴェゼル。前部ドアはグリップ式、後部は窓枠に埋め込まれたフラップ式(画像:ホンダ)。

 そもそも、欧州車でグリップ式が多かったこと、そして日本でフラップ式からグリップ式に変わっていったことにも理由があります。 たとえばフォルクスワーゲンは80年以上にわたりグリップ式を貫いています。ハンドルに力を加えて開けやすいので、万が一事故が起きてしまった場合、車内に閉じ込められた人を速やかに救出できるというのです。また、寒いヨーロッパでは、手袋をしたまま楽にドアを開けられるという利点もあるといいます。 一方、日本でグリップ式が広がったのは、安全面だけではありません。ホンダは以前、背の高いクルマが増え、ドアノブの位置が高くなったことを理由に挙げました。大人が開けやすいだけでなく、身長の低い子供でも、バーの内側に下から手を入れてドアを開けられるので扱いやすいそうです。 つまり、クルマの多様化がドアノブ形状の変化をもたらしたという側面もありますが、近年はさらに多様化しています。 たとえばテスラ車で見られる、ドアパネルに埋め込まれたバーがせり出してくるタイプは、最近ではメルセデス・ベンツなどにも採用されています。空力性能を重視し、物理的な凹凸をなくした究極の形かもしれません。一方、BMWのSUV形のEVであるiXは、一見してフラップもバーもなく、ドアのくぼみに手を入れて開けるというもの。今後も見たことがないようなドアが登場するかもしれません。

乗りものニュース編集部

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