ニュース 相次ぐ放火や無差別刺傷、異常時想定訓練が公開 東京メトロが説明した「最善の対応」
2003年韓国の地下鉄放火では192人が死亡し148人が負傷する大惨事となった
東京メトロが相次ぐ凶悪事件を想定した異常時想定訓練を実施【写真:ENCOUNT編集部】
東京メトロの異常時想定訓練が22日、江東区の総合研修訓練センターで行われ、警察、消防と連携した訓練の様子が報道公開された。訓練は「車内で不審者が刃物を振り回し、車内に放火する事象が発生、乗客により非常通報装置が操作された後、ホームドアと列車のドアがずれた位置に停車した」という想定のもと実施。実際の車両、ホームを忠実に再現した施設内で、乗客が逃げ惑うなか刃物を振り回す犯人役が警察官に取り押さえられ、訓練とは思えぬ物々しさが漂った。【写真】訓練とは思えぬ物々しい雰囲気…電車から逃げ惑う乗客らの姿 今年8月6日には小田急線の車内で10人が重軽傷を負う無差別刺傷事件が発生。10月31日には「小田急線の事件を参考にした」と京王線の車内でまたも無差別刺傷事件が発生し、18人が重軽傷を負った。さらに、今月17日には大阪・北新地のビルでガソリンをまいた放火事件が発生、25人が死亡する大惨事となった。今回の訓練も相次ぐ凶悪事件を想定した格好だ。
現時点での最善の対応は「次の駅についての停車」【写真:ENCOUNT編集部】
報道陣に対応した東京メトロ安全・技術部の木暮敏昭次長は「一連の事件はお客さまに安全、利便性を保証する鉄道会社にとって極めて挑戦的な事件だった。完全に防ぐことは難しい。次の駅についての停車が現時点では最善の対応」と話したが、仮に車内にガソリンをまかれ、大規模な火災で電車の移動自体が不可能となった場合はどうなるのだろうか。 2003年には韓国・テグの地下鉄でガソリン放火事件が発生、乗客など192人が死亡し148人が負傷する大惨事となった。この事件の教訓を踏まえ、現在では車両や座席に不燃性、難燃性の素材が使われているという。木暮次長は「まかれた燃料は燃えても、そこから延焼することはない。車内で火災が発生しているだけなら車両は動かせます。ただ、床下などの車体の動力に障害をきたすと動かせなくなることもありえる」と説明する。 日本でも1972年に起きた北陸トンネル火災事故で、架線の溶断による停電で列車が身動きの取れない状態に陥り、30人が死亡、714人の負傷者を出す惨事となった。事故は防げても、悪意ある無差別殺傷犯にどう対策していくのか。鉄道各社も頭を悩ませている。
ENCOUNT編集部
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