ニュース イノシシ成獣の侵入阻止100% 市販チェーン電気柵を改良

 山口県農林総合技術センターは、農業用水路からの有害獣侵入を防ぐ市販のチェーン電気柵を改良することで、高い侵入防止効果を発揮することを確認した。市販品のたるみを解消することで漏電を防止。約4カ月の実証でイノシシ成獣の侵入を100%阻止した。小型の野生動物にも対応するため、チェーンの高さや幅の調節など改良を続ける。【図解】のれん式チェーン電気柵の改良前と改良後

ニュース イノシシ成獣の侵入阻止100% 市販チェーン電気柵を改良

水路からの野生動物侵入を防ぐ、改良版のれん式チェーン電気柵(山口県提供)

県は獣害対策で侵入防止柵の整備を進めるが、水路に設置した柵は、土砂やごみがたまって壊れたりする。土砂をせき止めない上からつるすチェーン式電気柵もあるが、チェーンのたるみが大きくなると、チェーンが水に浸かり、漏電して効果が落ちる。 チェーン式は、イノシシがチェーンに触れると電気が流れる仕組み。実証試験では、チェーン電気柵を販売する末松電子製作所(熊本県八代市)が協力。水路の両岸に繊維強化プラスチック(FRP)製の支柱を立て、のれんのようにチェーンをつり下げる。市販品は中央部のチェーンがたるむため、左右の支柱にFRP製の棒を渡し、チェーンをはわせるように改良した。 山口県中部にある防府市の農事組合法人切畑ファームの管理する農地で、2021年3~6月に実証した。水路から侵入する動物の数を確認するため、赤外線カメラで監視。イノシシの成獣をターゲットに、チェーンは水面から15センチの高さに8センチ間隔に設置。11頭が現れ、うち6頭を撃退、5頭は、警戒して近づかなかった。 ただ、イノシシの幼獣やヌートリア、アライグマ、テンなど小型動物は侵入した。また、水路ごとに電気柵本器が必要なため、費用がかかることも課題に上がる。 同センターは「効果は確認できたので、小型動物にも対応できる設置方法や、コスト削減方法を検討する」と話す。

日本農業新聞

最終更新:日本農業新聞
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