【新型ゴルフGTI試乗】走りだけでなく上質さも兼ね備えた史上最良の“プレミアム”GTI!

●GTI専用のフロントバンパーには、チェッカーフラッグを模したデザインのフォグランプが備わる

【新型ゴルフGTI試乗】走りだけでなく上質さも兼ね備えた史上最良の“プレミアム”GTI!

■エアロダイナミクス性能も向上VWゴルフはドイツはもちろん、ヨーロッパを代表するCセグメントカーだ。だが、最近はあまり使われなくなったものの、かつてヨーロッパではCセグメントのことを「GTIクラス」と呼ぶこともあったくらいで、「ゴルフといえばGTI」というイメージが強い。かつてのGTIはそれだけ存在感があったというワケだ。1976年に初代が登場してから、全世界で累計230万台以上、日本国内だけでも6万4000台以上が販売されたというのも納得である。【専用パーツは内装にも!】ノーマルとはひと味違う、GTI専用装備の数々そんなゴルフのイメージリーダーである、スポーティグレードの新型GTIがついに日本上陸。静岡県御殿場市でその走りを早速体験することができた。新型であるゴルフ8のGTIは、まずルックスから個性的だ。エクステリアは、前後バンパーやディフューザー、サイドスカート、リヤスポイラー、LEDフォグランプが専用で、フロントにはGTIであることを示すレッドのストライプもあしらわれている。もっとも目を引くのは、フロント左右に備わるチェッカーフラッグ型に配置されたLEDフォグランプだろう。機能とデザイン性を融合し、GTIのスポーティネスをうまく表現したディテールである。特筆すべきはエアロダイナミクスの進化だ。Cd値を先代GTIの0.30から0.275へ向上させた。さらにリヤアクスルのリフトを減らし、フロントアクスルに配分することで、前後アクスルのリフトバランスを最適化。これにより高速域におけるスタビリティ向上を果たした。インテリアには、伝統のタータンチェック柄のスポーツシートや、専用ステアリングホイールなどを装備。デジタルコクピットの表示もGTI専用のスポーティなデザインとなっていて、ドライバーの気分を盛り上げてくれる。■シャシーの進化ぶりがスゴい搭載エンジンは、「EA288 evo4」と呼ばれる、2L直4直噴ターボである2.0TSIエンジンだ。インジェクターの改良により最大350bar(従来は最大200bar)に高められた直噴システムや、フリクション低減、ノイズ特性の改善などにより、先代のevo3からさらに進化している。その性能は、最高出力245馬力/5000~6500rpm、最大トルク370Nm/1600~4300rpmで、最高出力の発生回転数は若干異なるが、先代のゴルフGTIパフォーマンスと同じスペックを実現。これに湿式の7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせる。0→100km/h加速は6.2秒で、先代GTIパフォーマンスと同じだ。実際にドライブしてみると、先代GTIよりグッと軽快に回る印象で、サウンドも一層スポーティかつ上質になったように感じる。もちろん十二分にパワフルで、アクセル操作に対するレスポンスも素晴らしい。7速DCTの変速も俊敏で的確だ。だがパワートレーン以上に進化が感じられたのはシャシーだ。新型GTIは、フロントサスペンションは、ウイッシュボーンブッシュやスプリングおよびバンプストップの改良や、アルミ製サブフレームの軽量化(先代比-3kg)、リヤもスプリングやウイッシュボーンブッシュの改良に、新ダンパーベアリングの採用など、多岐にわたってアップデートされている。DCC(アダプティブシャシーコントロール)装着車はソフトウェアも新しくなった。さらに限界域におけるブレーキのコントロール性向上も図られている。しかも、先代ではGTIパフォーマンスやTCRのみに採用されていた、電子制御油圧式ディファレンシャルロックシステムを搭載。DCC装着車では4輪のショックアブソーバーを毎秒200回の頻度で調整して、車両姿勢を制御するのだ。■乗り心地もハンドリングもいい!これらの効果は乗り心地やハンドリングに明確に現れている。試乗車は235/35R19サイズのブリヂストン・ポテンザS005(標準仕様は225/40R18)というオプション装着タイヤを履いていたのだが、路面からの入力は角が取れていて、明らかに先代GTIより良好な乗り心地を実現していた。同時にハンドリングのキレ味や、スタビリティも抜群。ワインディングロードでは俊敏で正確なハンドリングとレスポンスのいいエンジンのおかげで、まるで突然運転がうまくなったかのように、自由自在に走れる感覚を覚えた。そのダイナミック性能は、もはや一般道では過剰にも思えるほど。だが、走りの上質感という点でもとても魅力的なモデルに仕上がっている。ゴルフGTIは、もはや走り好きのためだけのモデルではなく、よりプレミアムな「上質で余裕ある走りのスペシャルモデル」にレベルアップしたと言っていいだろう。よりスパルタンな走りを求めるなら、すでに本国で発売されているGTIクラブスポーツやRの日本上陸を待ったほうがいいかもしれないが、今回の新型GTIは、現時点で日本で買うことができる過去最良のGTIであることに疑念はない。税込み466万円という価格は、はっきり言ってリーズナブルだ。<文=竹花寿実 写真=佐藤正巳>■GTI(FF・7速DCT) 主要諸元【寸法・重量】全長:4295mm 全幅:1790mm 全高:1465mm ホイールベース:2620mm トレッド:前1535/後1515mm 車両重量:1430kg 乗車定員:5人 【エンジン・性能】型式:DNP 種類:直4DOHCターボ ボア×ストローク:82.5×92.8mm 圧縮比:9.6 総排気量:1984cc 最高出力:180kW(245ps)/5000~6500rpm 最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1600~4300rpm 使用燃料・タンク容量:プレミアム・51L WLTCモード燃費:12.8km/L 最小回転半径:5.1m 【諸装置】サスペンション:前ストラット/後マルチリンク ブレーキ:前後Vディスク タイヤ:前後235/35R19(標準は225/40R18) 【価格】466万円(消費税率10%込み)

竹花寿実 Toshimi Takehana

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