【最新版】「乗り心地の良いSUV」ランキングをプロが解説
クルマ選びで重要視するポイントは人それぞれ。内外装のデザインや安全装備、そして室内や荷室の広さ、走行性能などなど。しかし、クルマに乗っているすべての人が気になるのは「乗り心地」です。そこでモータージャーナリストの萩原文博さんに「乗り心地」にこだわったクルマ選びを行ってもらいました。今回は最近高い人気で新車種がどんどん増えているSUV編です。
良い乗り心地とは。SUVの乗り心地の良さは何で決まる?
「乗り心地の良いクルマ」と言ってもドライバーと後席に座る人では大きく異なります。乗っている人みんなが良い乗り心地と感じるクルマはどういうクルマなのか。それは「前後左右の無駄な動きを抑えて、路面からの入力を抑えつつ短時間で収束させるもの」と私は考えています。
その良い乗り心地を実現させるためには、ボディの骨格の剛性、サスペンションのセッティング、エンジンの特性など様々な要因が関係しますが、特にボディ剛性とサスペンションのセッティング、そしてタイヤの特性が大きく影響を及ぼします。
SUVは悪路走破性を高めるために最低地上高も高く設定されています。これによって車高が高くなると同時に重心も高くなってしまいます。その結果、セダンなど車高が低いクルマに比べると、特にカーブを曲がる時などの左右の揺れが大きくなりがちです。それを防ぐためにサスペンションの設定を硬くしてしまうと、今度は車両の動きにしなやかさがなくなりぎくしゃくとした動きとなってしまうのです。
重心の高さという構造的問題を抱えるSUVではボディ剛性と同じくらいサスペンションの最適化ということが乗り心地を左右します。
乗り心地のいいSUV TOP8
現在トヨタブランドではSUVは7車種、レクサスでは4車種SUVが用意されています。車種ラインアップが充実しているトヨタ、レクサス系のSUVは国産車の中では抜群の乗り心地を実現しています。また、注目はマツダです。こちらはミニバンがない一方でSUVを5車種と充実させていて、それぞれ味付けが異なっていますが、2020年に登場したMX-30の乗り味はしなやかで、重心の高さを感じさせない絶品の味付けですし、CX-8やCX-5は年々進化しています。
1位「レクサスRX」(100点)輸入車にひけをとらない上質な乗り味
●524~796万円 ●全長4890mm、全幅1895 mm、全高1710mm
乗り心地で選ぶ国産SUVで堂々第1位としたのはレクサスRXです。現行型RXは2015年10月に登場し、現在はレクサスブランドを支える売れ筋モデルとなっています。レクサスRXは素直な車両応答性を実現するために、フロントプラットフォームの構造を変更。エンジンマウントの配置をエンジンの重心に対してより近い位置でボディに懸架することにより、エンジンの動きを抑制し高い操舵応答性を確保しました。
さらにフロントサスペンションの構造変更、およびフロントスタビライザーの大径化によりロール剛性を高めることでフラットな車両姿勢を実現すると同時に、フロント・リヤサスペンションのばね剛性を適正化し、前後のバランスをとり直すことで、疲れにくい乗り心地を追求しています。
加えてバックドアなどの開口部にレーザースクリューウェルディングや構造用接着剤を用いるなど、ボディ剛性を高めることで、ボディの微振動を低減するなど、素晴らしい乗り心地を実現するために様々な工夫が施されています。
2位「レクサスNX」(97点)スポーティモデルでもしなやかな乗り心地
●454.6~612.7万円 ●全長4640 mm、全幅1845 mm、全高1645mm
第2位としたのもレクラスブランドの屋台骨を支えるNXです。現行モデルは2014年7月登場と、現在発売されているレクサスSUVの中で最も古く現在のレクサスSUVの乗り味の方向性を見いだしたモデルと言えます。NXはボディパネルを面で結合する構造用接着剤、従来のスポット溶接に比べて打点間を短くできるレーザースクリューウェルディングなど、レクサスご自慢のボディ生産技術を導入し、走行性能全体のベースとなるボディ剛性を向上させるとともに、サスペンション類の高剛性化も実現しています。
さらに、路面からのわずかな入力にも作用することにこだわった新開発ショックアブソーバーの導入で、操縦安定性と乗り心地を両立。また、ショックアブソーバーの減衰力を最適に電子制御するAVSに新型を採用するなど上質な乗り心地にこだわっています。一方、スポーティモデルのFスポーツには専用チューニングのサスペンションに加え、ボディの小さなたわみを吸収しながら剛性を高めるパフォーマンスダンパーを採用することで、シャープなハンドリングとフラットな乗り心地を両立しています。
3位「トヨタハリアー」(95点)新プラットフォームにより質感を向上
●299~504万円 ●全長4740mm、全幅1855mm、全高1660 mm
第3位は国産プレミアムSUVのパイオニアであるハリアーです。現行型ハリアーは2020年6月に登場しましたが、登場するやいなや大ヒット。現在では納車まで約半年かかるグレードもあるようです。クーペのような流麗なスタイリングが特徴の現行型ハリアーですが、上質な乗り味を実現するために様々な工夫が施されています。
まず、クルマの骨格となるプラットフォームには、TNGAプラットフォームを採用。ボディの高剛性化、そしてSUVながら低重心化を図り、ドライバーの感性を重視した乗り心地と走りの両立を追求しています。さらにサスペンションは、バランスの取れた高剛性ボディにおいて、前後のサスペンションジオメトリを最適化しています。
ハリアーはドライバーの目線の動きに着目。視線がブレないことで、ドライバーが疲れにくく、そして重厚感としなやかさをあわせもつ「乗り心地」を実現しました。また、走り出した瞬間や高速走行時の車両挙動の収束性を向上するため、極微低速域でもスムーズなストロークの動きを確保したショックアブソーバーを採用することで接地感あるフラットな乗り心地を実現しているのが特徴です。
4位「トヨタRAV4」(93点)オンオフ問わない安定した走行安定性
●274.3~402.9万円 ●全長4600mm、全幅1855mm、全高1685 mm
第4位はスタイリッシュなSUVが多い中でタフギア感を演出し、スマッシュヒットとなったRAV4です。RAV4はクルマの骨格となるプラットフォームには、ハリアーと同じTNGAプラットフォームを採用。SUVながら低重心化を図り、ドライバーの感性を重視した乗り心地と走りの両立を追求しています。
タフギア感を強調したデザインのRAV4ですが、オンロード、オフロード両方での走行性能を向上させたことが特徴です。アドベンチャーなどに搭載された、世界初となる新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に応じて、前後トルク配分に加え、後輪トルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」により、ドライバーの狙い通りのラインを安定した車両姿勢で駆け抜ける高い旋回性能を発揮します。
また、4WD走行が不要と判断した時には、後輪に動力を伝達させる駆動系を切り離す「ディスコネクト機構」の採用により、燃費向上を図っています。そのほか2種類合計3タイプの4WDシステムを採用し、路面状況に左右されない安定した乗り心地を実現します。
5位「マツダ MX-30」(90点)SUVとは思えない落ち着いた走りが魅力
●242~305.25万円 ●全長4395 mm、全幅1795 mm、全高1550mm
2020年10月に登場したばかりのマツダの新型コンパクトSUV、MX-30が第5位です。マツダはトヨタに次いでSUVの車種ラインアップが充実していますが、MX-30はその最新モデルとなります。MX-30はマツダが全てのモデルで掲げている「人馬一体による走る歓び」を実現するために、人間中心の発想をさらに深く突き詰めて生み出した新世代車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」を導入しています。
クルマに乗っているとき人間が無意識に足・骨盤・脊柱をコントロールして体と動きのバランスを取り能力を発揮できる状態をつくるために、シート、ボディ、シャシーを有機的に連携させながら、人間の特性に基づいた造り込みを徹底。そうして生み出したのが、新世代の車両構造技術「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」です。目指したのは、クルマに乗る人が自然体でいられること。それをひたむきに追求することで、人間の感覚にフィットした乗り心地と操縦安定性を実現しています。
6位「マツダCX-8」(88点)ロングホールベースによるゆったり感が抜群
●299.42~483.45万円 ●全長4900mm、全幅1840mm、全高1730 mm
2017年12月より販売開始されたCX-8が第6位です。ミニバンを商品ラインアップにもたないマツダが、ミニバンの代わりのファミリーカーとして提案した3列シートSUVがこのCX-8です。CX-8の登場によって国産3列シートSUVの市場は拡大しました。
CX-8はCX-5のボディを延長したモデルと思う人が多いかもしれませんが、CX-8とCX-5は全くの別モデルです。CX-8は北米で販売されているCX-9をベースに日本の道路事情に合わせて小型化したモデルなのです。ボディの骨格には軽量・高剛性な「スカイアクティブ・ボディ」を採用し、マツダ初の「二又構造」をCピラー下に追加しています。さらに後面衝突時に3列目乗員を保護する剛性を確保しました。
CX-9のサスペンション基本構造をもとに減衰力などを専用に調整、「リバウンドスプリング」をフロントダンパーに採用し、コーナリング時の安定性を向上させています。こういった点が走行性能に不満が出がちなミニバンより、CX-8を求める人が増えていることにつながっているのだと思います。
7位「マツダCX-5(83点)ディーゼル車のシットリとした乗り味は絶品
●267.85~403.15万円 ●全長4545 mm、全幅1840 mm、全高1690mm
第7位は2016年12月に発表された現行型CX-5です。マツダの基幹車種の一つとなっているCX-5は、ドライバーだけでなく乗るすべての人が走る歓びを感じられるよう、パワートレインからハンドリング性能、乗り心地、静粛性など、すべての性能を磨き上げ、心地よく爽快なパフォーマンスフィールと同乗者の快適性を両立させているのが特徴です。
スカイアクティブボディと呼ばれる骨格は、最新のCAE解析を駆使した効率的な補強の他、Aピラーやサイドシルなどに軽く強度の高い超高張力鋼板を採用。先代モデルに対しねじり剛性を15.5%高め、操作に対する車体の応答遅れを低減しています。
シートも疲れにくさと運転のしやすさを高めるために、フロントはシートバックに体圧を分散できるサスペンションマットを採用するとともに、シートバックの場所ごとに剛性を最適化。「体幹」をしっかりと支えることで、安心感と快適性が向上。座面には人間が不快に感じる振動だけをカットする高減衰ウレタン素材を新採用しています。一方のリアシートはシートの傾き角度を先代モデルから2度拡大するなど快適性が向上しています。
8位「三菱 エクリプスクロス(81点)高性能4WDが生み出す高い走行性能
●253.11~447.7万円 ●全長4545mm、全幅1805 mm、全高1685 mm
2018年3月より販売開始したエクリプスクロスが第8位です。最近マイナーチェンジを行い、1.5Lガソリンターボと2.2Lディーゼルターボというパワートレインから2.2Lディーゼルターボが廃止され、2.4Lエンジンを搭載したPHEVシステムを搭載しています。
スタイリッシュなクーペスタイルのボディを採用し、前後のオーバーハングを切り詰めタイヤを四隅に配置、さらに十分なアプローチアングルおよびディパーチャーアングル、最低地上高を確保することで、SUVとしての確かな走破性を実現しています。さらにボディのフロント部を3点式のストラットタワーバーで補強し、リヤ周りを中心に構造用接着剤の塗布によって高剛性化したボディや、細部にわたり最適化を図ったサスペンションなどと相まって、意のままの操縦性と卓越した安定性を実現しています。
加えて、4WD車にはアクセル開度や車速、車両の走行条件などから、後輪へ伝達するトルクを常に適切に配分する電子制御4WDシステムを搭載。これにAYCブレーキ制御を追加した車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用し、ドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現しています。このシステムによる走行安定性は非常に高くなっています。
自分にあった乗り心地のいいSUV選びのポイント
クルマは一般的に低重心のほうが乗り心地は良くなる傾向があります。それは重心が高くなると揺れが大きくなるからです。しかしSUVは悪路走破性を向上させるために最低地上高を確保し、重心が高くなってしまいます。そのデメリットをボディやサスペンションの最適化によって抑えるかがSUVでの乗り心地の良し悪しを決める要素となります。
最近の傾向を見ていると、やはりSUVの車種ラインアップが充実しているメーカーのほうが乗り心地の良いSUV作りに長けているといえるかもしれないと感じます。SUVとはいえ、誰もがオフロードを走行するとは限りません。そういった人は4WDではなく2WDを選んだほうが燃費面でもメリットがありますし、車両本体価格も安く抑えられます。したがってファミリーカーとして定着しつつあるSUVは街乗り中心なのか、アウトドアにも行くのかという使い方が選ぶポイントとなります。
カーリースなら乗り心地の良いSUVに思ったよりも低い金額で乗れるかも(カルモくんからのお知らせ)
さて、ここでカルモくんからのお知らせです。ここまで紹介してきた乗り心地の良いSUVの中には、レクサスのように400万円を超えるような車種もありました。しかしそんな車でもカーリースを利用することで、思ったよりも低い月々の支払いで乗ることも可能になるかもしれません。
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数あるリース会社の中でも、月額10,000円台から新車に乗れるカーリースの「定額カルモくん」なら、次のようなメリットでよりお得にカーライフを楽しめます。
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「おトクにマイカー 定額カルモくん」を利用すれば、乗り始めの費用や維持費を抑えながら、お気に入りの車に乗ることも可能になります。
街乗りメインの乗り心地の良いSUVが増えている
アウトドアに行く人だけでなく、街乗り中心でもファッションとしてSUVを選ぶ人が多くなっています。そういった状況を受けて、各自動車メーカーも街乗りメインで、セダンのような乗り心地を実現したSUVを数多く登場させています。プレミアムブランドのレクサスや新プラットフォームを採用したハリアーなどの人気の高いSUVはまさに高級セダンに変わる存在として評価されているのです。
※記事の内容は2021年1月時点の情報で制作しています。
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