日産報酬隠し事件判決、主犯はゴーン被告…ケリー元役員は一部有罪[新聞ウォッチ]

「主役」というか、「主犯」が不在のままでの後味の悪い判決である。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の役員報酬を過少に記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた日産元代表取締役のグレッグ・ケリー被告の判決が東京地裁であった。

それによると、下津健司裁判長は「ゴーン被告が事件の主犯だ」と認定した一方、ケリー被告には一部の起訴事実のみ有罪とし、懲役6月、執行猶予3年(求刑・懲役2年)。また、法人として起訴された日産には、求刑通り罰金2億円を言い渡した。

きょうの各紙にも、朝日と毎日が1面準トップで「日産ケリー元役員一部有罪」などと報じたほか、社会面でも「不在のゴーン被告断罪」(朝日)や「『主犯はゴーン被告』認定」(東京)などと、大きく取り上げている。

朝日は社説のテーマとしても「日産事件判決」を取り上げて「その場にいるべき人の姿がないことに、あらためて憤りと失望を強くする」などと指摘。さらに、経済面では、ケリー元役員に有罪判決が出たことで、ゴーン被告をめぐる事件は「節目を迎えた」として、2018年11月のゴーン被告逮捕からの3年余り、日産における主な動きを「『ゴーン後』刷新と課題と」との見出しで振り返っている。

産経も「復活へ電動化加速」とのタイトルで「事件を受けて日産は、毀損したブランドを復活させるため、ゴーン被告が主導した拡大路線から転換。脱炭素化に向けて電気自動車(EV)開発など電動化を加速させたい考えだ」としながらも「3年ぶりの黒字を見込むが、世界的な半導体不足が長期化するほか、ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リスクもあり、復活への道のりは平坦ではない」とも伝えている。

東京地裁が言い渡した判決では「高額の報酬の支払いを確保しつつ、保身を図ろうとするゴーン被告の私利私欲に基づくものだ」「事件の要因はゴーン被告による長期独裁体制に醸成された日産の企業体質にあった」として、「社会的評価の低下は身から出たさび」とも厳しく突き放しており、痛切である。

2022年3月4日付

●侵攻1週間、露、南部拠点都市を制圧(読売・1面)

日産報酬隠し事件判決、主犯はゴーン被告…ケリー元役員は一部有罪[新聞ウォッチ]

●世界の物流網混乱、欧露発着、輸送停止や欠航、車大手にも影響(読売・12面)

●日産ケリー元役員一部有罪、ゴーン元会長の報酬隠し認める、東京地裁(朝日・1面)

●自動車大手、ロシア事業ブレーキ、物流停滞、ルーブル安、日産も輸出停止(朝日・8面)

●社説、日産事件判決、萎縮が招いた統治不全(朝日・14面)

●石油補助引き上げ、首相表明5円から25円に(毎日・2面)

●日産復活へ電動化加速、有罪判決拡大路線から転換(産経・10面)

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