【アウディ RS4アバント 海外試乗】2.9リットルV6ターボのフィールは、やみつきになる…岡本幸一郎

4.2リットルV8から2.9リットルV6ツインターボへ

日本導入に先立ち、4代目となる新型『RS4アバント』をドイツのアウトバーンや田舎道でテストドライブすることができた。

【アウディ RS4アバント 海外試乗】2.9リットルV6ターボのフィールは、やみつきになる…岡本幸一郎

実車を前にすると、ワイドボディに象徴される見るからに速そうな姿が目を引く。レッドはもちろん、グリーンもよく似合う。内外装のいたるところに配されたカーボンパーツも、よりそれを引き立てている。さらにはコクピットはもとより、ラゲッジスペースやエンジンルームなど外から見えない場所も念入りに仕立てられていることにも感心した。
アウディ RS4アバント
新型ではエンジンが従来の自然吸気の4.2リットルV8から新たに2.9リットルV6ツインターボに変更されたのが大きな特徴のひとつだが、最高出力は450psに達し、600Nmの最大トルクを1900~5000rpmという幅広い回転域で発揮するだけあって、その走りは申し分ない。どこからでもついてくる瞬発力のある加速フィールは、やみつきになってしまいそうだ。低く響くエキゾーストサウンドは、さらに迫力ある音質へと瞬時に切り替えることもできる。

パワートレインのダウンサイジングによる軽量化も効いてか、これまでは重厚な印象だったドライブフィールがかなり軽快になっていることも新型RS4アバントの特徴だ。ステアリング操作に対する応答遅れを感じさせない正確無比な操縦性には、さらに磨きがかっている。200km/hオーバーの速度域でもなんら不安に感じることなく巡行できるスタビリティの高さにも感心せずにいられない。エアロダイナミクスも相当に効いているはずだ。

毎日使える快速ワゴンにも

アウディ RS4アバント
絶対的な性能に感心する一方で、快適性の高さも印象的だった。従来の一連のRSモデルは性能が高い半面、快適性がやや損なわれた感があるのは否めなかったところ、最近では快適性を重視したことがうかがえたのだが、新型RS4アバントもまさしくそうだ。

ドライブモードの選択によりこれまで以上にクルマの性格が大きく変わるようになり、いざとなればサーキットを本気で攻められるスポーツカーにもなれば、家族や仲間を乗せて毎日使える快速ワゴンにもなる。

ところで今回、実は思いがけずRS4アバントの起源といえる『RS2』を少しだけドライブすることができたのだが、25年近くも前に生まれたクルマながら現代でも通用するパフォーマンスを身に着けていることに加えて、今ほど電子制御を多用しない中でもいたって扱いやすく、快適な乗り心地を確保していることも印象だった。アウディがRSモデルでやりたかったことが垣間見えたような気がする。

最新のRS4アバントの日本上陸を心待ちにしている人には、期待を超える素晴らしいクルマに仕上がっていることを、ぜひお伝えしておきたい。
アウディ RS2(左)とアウディ RS4アバント

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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