本当に使える超複雑時計が大胆なオープンワークに!──ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」

18KWGケース×アリゲーターストラップ、自動巻き、41mm径、563万2000円。

ヴァシュロン・コンスタンタンは「日」「曜日」「月」表示をもつコンプリートカレンダーの新作「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」を発売した。18KWGと18KRGケースの2モデル展開で、価格はいずれも563万2000円。【写真を見る】異彩を放つコンプリートカレンダー!(全12枚)

本当に使える超複雑時計が大胆なオープンワークに!──ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」

デザイン性と実用性が高い次元で両立

ヴァシュロン・コンスタンタンは、啓蒙主義時代にジュネーブで活躍した時計職人の精神を継承する「トラディショナル」コレクションに新作を追加した。文字盤にサファイアクリスタルを使用することによってカレンダー機構の動きを文字盤側から見ることのできる「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」である。腕時計において日付のみのカレンダーを「デイト」、日付+曜日を表示するものを「デイデイト」、そしてここに月表示が加わるとすべての要素が揃ったカレンダー、すなわち「コンプリートカレンダー」と呼ぶ。カレンダーの修正を行う頻度によって「アニュアル」や「パーペチュアル」といった“役”が付くケースもあるが、基本的にカレンダー表示の種類はこの3種類だ。そして3つもカレンダーがあると、デザインに各ブランドの個性が表れやすくなる。すべてを指針式で表示することもできれば、ディスクを用いることも可能。指針式の場合は針をレトログラード式にだってできるし、ディスク式ならば表示の大きさで他社と差別化を図れるからだ。

ヴァシュロン・コンスタンタンにおいて“役物”ではない通常のコンプリートカレンダーといえば、ダイアルを一周するタイプの指針式日付表示に、ディスク式の曜日と月を組み合わせるのが伝統的だ。しかし、そんなヴァシュロン・コンスタンタン式コンプリートカレンダーのお決まりを踏襲しながらも、異彩を放つのが昨年12月に発表された「トラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス」である。冒頭で記したように、新作はこの3つのカレンダー+ムーンフェイズの動きを文字盤側からも堪能できる。たとえば曜日と月のディスクを注目してみよう。1時間で1周する、つまり分針を回す歯車からそれぞれ中間車を経て減速していき、最終的に曜日ディスクは7枚歯、月ディスクは12枚歯のカナが回ることによって、カレンダーが切り替わる仕組みが見えてくる。立体的なインデックスと針を持っている新作は、多くのトランスパレントダイアルモデルが陥りがちな時刻の読み取りづらさとは無縁だ。アンスラサイトグレーの見返しリングと、その上にアプライドされたインデックスのコントラストが強いため、針の示す先を見失うことがない。また、太いドーフィン針自体も強い光源下で文字盤に埋没することはない。デザイン性と実用性が高い次元で両立した時計の好例だ。最後に、6時位置に配されるムーンフェイズが高精度であることにも触れておきたい。どれくらい高精度かというと、通常のムーンフェイズが1カ月で約44分、つまり3年で約1日の誤差が出るのに対して、122年で約1日の誤差しか生じさせない。パワーリザーブが約40時間と少し心許ないが、自動巻きのため、2日に1回着ければ問題なしである。せっかくの高精度ムーンフェイズを生かすためにも、高頻度で装着して時計を止めないように心がけたい。

VACHERON CONSTANTINトラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス18KWGケース×アリゲーターストラップ、自動巻き、41mm径、563万2000円。VACHERON CONSTANTINトラディショナル・コンプリートカレンダー・オープンフェイス18KPGケース×アリゲーターストラップ、自動巻き、41mm径、563万2000円。ヴァシュロン・コンスタンタンTEL:0120-63-1755https://www.vacheron-constantin.com/jp/ja

文・細田雄人

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