「Visual Studio Code」に不審なリポジトリを安全に扱える「制限モード」

新しいウェルカムぺージ、ターミナルタブなどを追加した2021年5月更新

「Visual Studio Code」v1.57

 米Microsoftは6月10日(現地時間)、コードエディター「Visual Studio Code」の2021年5月アップデート(v1.57)を正式リリースした。今月は新しいセキュリティ機能「Workspace Trust」や新しくなった「作業の開始」画面、正式版になった「ターミナル タブ」など、多くの魅力的な新機能が導入されている。

Workspace Trust(制限モード)

 「Visual Studio Code」で公開リポジトリなど、自分以外の開発者が参加するリポジトリを扱うケースは少なくない。しかし、残念ながらそのすべてが信頼できるというわけではない。なかには悪意あるコードをこっそり忍び込ませる開発者がいないとも限らないが、そうしたコードがローカルで自由に実行されてしまうと厄介だ。

「Visual Studio Code」に不審なリポジトリを安全に扱える「制限モード」

 そこで最新版の「Visual Studio Code」には、ワークスペースの機能を一部無効化する「制限モード」(セーフコード参照)が導入された。「Visual Studio Code」でフォルダーを開いたりコードを実行しようとすると「Workspace Trust」画面が現れ、そのフォルダーを信頼するかどうかを選択できる。自分以外の開発者が参加する・チェックが行き届いていない比較的小規模なリポジトリは、念のため「信頼しない」(制限モード)にしておくとよいだろう。「制限モード」ではタスクやデバッグ、ワークスペース設定、拡張機能などがロックダウンされ、コードが自動で実行されることはなくなる。

「Visual Studio Code」でフォルダーを開くと「Workspace Trust」画面が現れる「制限モード」ではタスクやデバッグ、ワークスペース設定、拡張機能などがロックダウンされ、コードが自動で実行されることはなくなる

 ワークスペースが「制限モード」になると、ステータスバーにそれを示すラベルが表示される。このラベルか、画面左下の[設定]メニューにある[ワークスペースの信頼を管理]コマンドを使えば、いつでもワークスペースのモードを切り替えられる。

「制限モード」ラベルか、画面左下の[設定]メニューにある[ワークスペースの信頼を管理]コマンドを使えば、いつでもワークスペースのモードを切り替えられる

新しくなった「作業の開始」画面

 「Visual Studio Code」の開発チームは、過去2回のイテレーション(開発サイクル)でウェルカム画面の改善に取り組んでいたが、今月のアップデートではそれが既定で有効化された。すべてのユーザーに対し、[作業の開始]という画面が表示されるはずだ([ヘルプ]-[概要]メニューからアクセスすることも可能)。

 このページでは、[VS Code を開始する]ボタンからデザインや拡張機能などの設定をステップバイステップで行えるほか、基礎を学んだり生産性を高めるためのチュートリアルにアクセスできる。すべてのチュートリアルを完了するとボタンは削除され、代わりに最近開いたワークスペースの一覧が表示される(表示項目の数が2倍に拡張される)。

新しくなった「作業の開始」画面[VS Code を開始する]ボタンからデザインや拡張機能などの設定をステップバイステップで行える

ターミナル タブ

 「ターミナル タブ」は2021年4月アップデート(v1.56)からプレビュー提供されていた機能で、今月からデフォルトで有効化された。

 「ターミナル タブ」は、ターミナルが2つ以上ある場合に[ターミナル]パネル右側に現れる。クリックしてターミナルを切り替えるのはもちろん、アイコンや色を変更して見分けやすくできるほか、ドラッグ&ドロップで並び替えることが可能だ。画面を分割表示しているときはターミナルが罫線でつながれて表現され、ドラッグ&ドロップで独立や追加などの処理も行える。

「ターミナル タブ」は、ターミナルが2つ以上ある場合に[ターミナル]パネル右側に現れる

「Microsoft Edge」のデバッグ

 JavaScriptデバッガーが「Microsoft Edge」開発者ツールと統合され、「Visual Studio Code」のデバッグツールバーに新設された[Inspect]アイコンからDOMやスタイル、ネットワークインスペクターが利用できるようになった。「Visual Studio Code」から要素をナビゲートできるようになるなど、デバッグの効率が大きく向上する。

JavaScriptデバッガーが「Microsoft Edge」開発者ツールと統合

 そのほかにも、「JSDoc」の@linkがサポート。コードファイルの[定義へ移動]コマンドが拡充され、画像やスタイルシートにもジャンプできるようになった。また、ノートブックAPIがほぼ完成し、仕様が確定されたとのこと。今後の活用に期待したい。

 「Visual Studio Code」は、Windows/macOS/Linuxで動作する高機能なコードエディター。JavaScript、TypeScript、Node.jsを組み込みでサポートし、強力なコーディング支援・デバッグ・統合ターミナル機能を提供するほか、言語サーバー対応の拡張機能を追加することで、幅広いプログラミング言語に対応できるのが特徴。現在、本ソフトの公式サイトから無償でダウンロードできる。すでに利用している場合は、自動更新機能を用いてアップデートすることも可能だ。

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