ロードバイクの盗難対策デバイスをSigfoxで実現、IoTで愛車を守る「AlterLock」発売

軽量なスポーツ車で、頑丈なU字ロックなど持ち運びたくはない――サイクリストの社員の悩みが開発のきっかけ

 AlterLockの提供元である株式会社ネクストスケープは、1999年設立のIT企業で、もともとは慶應義塾大学でデータマイニングをテーマとした研究室にいた3名によって立ち上げられた。代表取締役社長の小杉智氏も創業メンバーの1人。小杉氏はデータベース分野に強いエンジニアであり、残るり2人はそれぞれネットワークとウェブデザインを得意としていた。

ロードバイクの盗難対策デバイスをSigfoxで実現、IoTで愛車を守る「AlterLock」発売

 現在はクラウド開発やデジタルマーケティング、音楽・動画配信など幅広い分野を手がけており、クラウドインテグレーション事業部では2010年の時点でいち早くAzure開発への取り組みを始めた。また、音楽・動画配信においては国内において数多くのミュージックストアや動画配信サイトのバックエンドサービスの開発を手がけるなど、さまざまな分野においてシステム開発を牽引してきた。

 そんな同社が今後のIT分野の動向を見据えて、新規事業を模索し始めたのは2年半ほど前のこと。「これからはSIだけでやっていく時代ではなく、IT×農業とか、IT×医療とか、いろいろな分野に取り組んでいく必要があるというメッセージを出したところ、従業員のみなさんからいくつかのアイデアが提案されました。その中から行けそうだと思ったのがAlterLockでした」(小杉氏)。

株式会社ネクストスケープ代表取締役社長の小杉智氏(右)とプロダクトマネージャーの照山聖岳氏(左)

 企画を出したのは、現AlterLock事業開発チームのプロダクトマネージャーを務める照山聖岳氏だ。照山氏はロードバイクを趣味としており、以前からスポーツ自転車のセキュリティについて課題を感じていた。細いワイヤーロックでは工具を使って簡単に切断されてしまうので高額な自転車を守るには不安だし、かといって、せっかく軽量なスポーツ自転車に乗っているのにもかかわらず、1kgを超える頑丈なU字ロックなどを持ち運びたくはない。そんな悩みを解決するために考えたのがAlterLockだ。

 「“位置情報を追跡できる自転車用の防犯システム”というアイデアは以前から考えてはいたのですが、LPWAのない時代にそれを実現するには、スマホのSIMカードを挿してデータを送るしか方法がありませんでした。しかし、それでは月額基本料が高くなってしまうので、コンシューマー向けの事業としては成り立ちません。そんな折に登場したのがLPWAです。LPWAにもいろいろありますが、その中でも全国規模で公衆サービスとして展開しているSigfoxを使ってサービスを実現しようと考えました。」(照山氏)

タグ: