ニュース アルコール検知でエンジンがストップ 「飲酒運転防止システム」は普及するのか
6月には千葉で飲酒運転のトラックが小学生の列に突っ込み児童5人が死傷する事故
日本の2020年1年間の飲酒運転違反は2万2458件にも上る
ドライバー向けアルコール検知システムを開発・販売する東海電子株式会社が、アルコールが検知されるとエンジンがかからない車載型飲酒運転防止システム「呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置」の2021年度の販売実績と普及状況を発表。年間2万人に上る飲酒運転者へのアルコール・インターロック装着の法制化を提言している。【写真】「呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置」のシステムイメージ 運輸・交通業界で、点呼によるアルコール検知器の使用の義務化が施行されて10年。現在トラック、バス、タクシーなどの運輸・交通事業者は、法令上必ずアルコール検知器を設備として事業所に備え、点呼時の酒気帯び確認が義務付けられている。ところが、アルコール検知が義務付けられたものの近年は下げ止まりの傾向が続き、トラック業界にいたっては直近では前年比増という事態に。2019年には国土交通省運輸安全委員会から公表された事故調査報告書により、フェリー使用時のトラックドライバーの隠れた飲酒実態も明らかとなった。 今年6月28日には、千葉県八街市でトラックが小学生の列に突っ込み児童5人が死傷する飲酒運転死亡事故が発生。加害側がいわゆる「白ナンバートラック」であったことから、警察庁・公安委員会は再発防止のため、安全運転管理者選任事業所に対し、アルコール検知器使用を義務付ける道交法施行規則の改正を実施。また、千葉県知事が政府に対し「アルコール・インターロック装置や事故の回避及び被害の軽減が可能な安全運転支援装置の普及に向けた取組の推進」の要望書を提出している。 同社では2009年から、運転前に呼気検査を行いアルコールが検知されるとエンジンがかからない飲酒運転防止システム「呼気吹き込み式アルコール・インターロック」を販売。これは「運転前に必ず呼気をチェックし記録を残し、検知したらクルマが動かない」という強制力のある唯一の検知器で、発売13年で累計出荷台数は2800台を超える。2020年は前年比増、2021年度は千葉県の事件以後に出荷数が増加するも、昨今の半導体不足のため一部納入が滞り、結果前年比11台減となっている。 同社は、警察庁・公安委員会・国土交通省に対し「年間2万人いる飲酒運転者へのアルコール・インターロック装着は、法制化されるべきと考えています。また、プロドライバーの飲酒運転ゼロの実現なくして、年間2万件以上もある日本の一般ドライバーによる飲酒運転ゼロ実現は不可能であるとも考えています。運輸行政は、決して、悪意ある市井の飲酒運転者に、『プロドライバーでさえ飲酒運転している』と言わせない政策を実現すべきである」と提言している。
ENCOUNT編集部
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