ニュース記事 | トップニュース | 宮富士工業が実名で映画に登場

 人気俳優の佐藤健さん、阿部寛さんが共演する10月1日公開の映画「護られなかった者たちへ」(松竹、瀬々敬久監督)に、プラント設備などの製造を手掛ける溶接事業所である宮富士工業(宮城県石巻市、後藤春雄社長、宮城県溶接協会会員)が主演の佐藤さんが演じる利根泰久役の勤務先として実名で登場する。佐藤さんが実際に溶接を行うシーンもあることから、佐藤さんへ溶接を指導した後藤社長は「日本屈指の実力派俳優の方々が出演する話題作に当社や溶接シーンが登場することで溶接への関心が高まれば」と期待を語る。 同社での撮影は昨年7月に行われ、作中で溶接を実施するシーンもあることから、事前に後藤社長が佐藤さんへ溶接指導を行った。 後藤社長は2012年度に「現代の名工(アーク溶接工)」の表彰を受け、14年には黄綬褒章を受章するなど国内屈指の技能者として知られる。 佐藤さんは後藤社長より炭酸ガスアーク溶接(T字隅肉溶接)の指導を受けた後、宮富士工業社員の利根泰久役として同社の社名が入ったヘルメットをかぶり、防護服に身を包んで溶接シーンの撮影に挑んだ。佐藤さんは溶接中のアークは安定しており、ウィービングのような動きも見せたという。「日本を代表する俳優だけあり、集中力がすさまじく、手先が器用で飲み込みも早い。小一時間ほどの練習で本番を迎えたが、溶接トーチを持って溶接を行う姿は本職の溶接士のような佇まいであった」と後藤社長は佐藤さんの溶接センスについて高く評価するとともに日本を代表する俳優の凄みを感じたようだ。 映画は東日本大震災から10年を迎えた宮城県を中心に物語が展開する。宮城県溶接協会会長でもある後藤社長は、ロケ地候補で瀬々監督から打診を受けた際、数社を紹介したが、瀬々監督の目に留まったのは同社だという。後藤社長は「東日本大震災をテーマとしている作品でもあり、石巻市内の沿岸近くに所在し、大震災では社屋が津波の被害に見舞われながらも、社員および、地域の皆とともに復興に向けて尽力してきた当社が映画のイメージに合うと瀬々監督も感じたのではないか」と語る。 その上で「映画内に当社や溶接のシーンが登場することで溶接業界に若者の目が向いてくれるなら」という思いから同社を撮影場所として提供。当初は架空名の鉄工所であるという設定であったが、映画内で宮富士工業の実名を出して良いかという打診が製作サイドからあり、それも許諾した。 同映画は中山七里さんの小説が原作で、原作では生活保護や東日本大震災をテーマとしているほか、人間の更生についても描かれている。後藤社長は東北少年院で長年にわたり講師として溶接を指導するなど、ものづくりを通した更生や教育への活動に尽力してきた。「原作の内容が自分に携わってきた活動と通じるものだと感じたことも、撮影への協力を惜しまなかった大きな要因の一つ」と述べた。 特別試写会で一足早く作品を鑑賞した後藤社長は「被災地の今を描いていたのに加えて、人間の尊厳や社会問題の深層に切り込んだ重厚なヒューマンドラマで見応えがあった。石巻南浜津波復興祈念公園や被災した旧門脇小学校の校舎など東日本大震災から10年という節目を迎えた石巻および被災地の現在を写した場面もたくさんある」と見どころを語る。 なお、同社の社員もエキストラとして出演しているシーンもあり、同社の高橋茂男JWESマイスター(日本溶接協会第1回認定)などが登場するという。

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