大阪万博予定地でローカル5G実証、NTT西日本らが港湾業務の効率化目指す

NTT西日本、夢洲コンテナターミナル、三菱ロジスネクスト、大阪市の4者による実証コンソーシアムは2022年1月17日、総務省「令和3年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に対して行った実証提案「港湾・コンテナターミナル業務の遠隔操作等による業務効率化・生産性向上の実現」が採択されたことを発表した。実証実験は大阪・関西万博予定地の夢洲で実施する。期間は2022年1月18日から3月25日まで。同所の夢洲コンテナターミナルでは取扱貨物量の増加等に伴い、ゲート前での渋滞問題が顕在化。そうしたなかで、港湾業務のデジタル化による業務効率化・生産性向上が求められるとともに、2025年の万博開催に向けて工事車両や万博来場車両、物流車両等の円滑な交通を確保するための対応が急務となっているという。加えて、港湾エリアの環境下では、広大な敷地であるため有線でのネットワーク整備が費用面で困難であり、多くの船・車・人等が出入りするためWi-Fiの電波干渉も頻繁に発生する。また、屋外のため電波反射が期待できず、積み上げられたコンテナが遮蔽物となるなど通信環境整備の課題も抱えていた。こうした課題に対して実証コンソーシアムでは、港湾事業の持続的発展、万博開催に向けて抱えている課題、および通信環境整備に関する課題を解決する実証実験に取り組む。屋外利用可能な4.8~4.9GHz帯(Sub6帯)を用いて、次の実証を行う。1つめは、コンテナターミナルゲートにおけるダメージチェックの効率化だ。コンテナダメージチェックを行う作業員がスマートグラスを装着し、判断が難しいケースにおいて遠隔にいる有スキル者が支援する。従来は管理棟にいる有スキル者が駆けつけていたが、これをリモート化することで効率化。また、将来的にダメージチェックのAI判定を実現するため、画像データも蓄積する。

大阪万博予定地でローカル5G実証、NTT西日本らが港湾業務の効率化目指す

コンテナの遠隔ダメージチェック実証のイメージ

2つめに、タイヤ式門型クレーン(RTG)の遠隔操作に向けてローカル5Gの有用性を確認する。RTGの作業現場を撮影した高精細映像を、管理棟にいる操作者のもとへ伝送。ローカル5Gの低遅延通信によって操作信号をRTGへ送信する。3つめは、周辺道路の渋滞改善に向けた実証だ。コンテナターミナルに来場する外来トレーラーを4Kカメラで常時撮影し、車両情報(ナンバー)を自動で取得。待機時間の可視化および渋滞予測が将来的に実現できるかを確認する。また、コンテナターミナル内での積荷時間の削減に向けて、事前荷繰りに必要な車両情報を、国土交通省が開発した新・港湾情報システム「CONPAS」へ円滑に伝送できるかについても確認する。

車両情報を活用した渋滞状況改善実証のイメージ

これらと合わせて、周辺に開放地・郊外地が存在する港湾エリアにおいて、水面・コンテナ等を考慮した電波伝搬特性の調査や、電波反射板によるコンテナ裏などの電波の死角に対する通信エリア化の可能性も検証する。

タグ: