火災や一酸化炭素中毒をどう防ぐ?「薪ストーブの安全学」教えます
揺れる炎に目をやりながら、片手にブランデー・グラス。初老の名探偵が薪ストーブの炎を前に、ロッキングチェアに腰かけて難事件解決のため、脳細胞をフル回転させている──。
薪ストーブと聞くと、こんな場面を連想する人も多いのではないでしょうか。この記事の筆者である科学ジャーナリスト・三島勇さんも、実際に薪ストーブと出会う前は、そのようなイメージしかもっていなかったそうです。
ところが、薪ストーブを使った冬を3回過ごした今では、その「妄想」は打ち砕かれ、まったく違った印象を抱いているのだとか。
薪ストーブは手強く、奥が深い。扱う人の人間性を試し、忍耐力を要求する。一方で、その暖かさは格別。薪の準備や炉内の掃除、薪の投入など、面倒なことは多々あれど、薪がしっかり燃えてくれると、かけがえのない"相棒"だと感じられるというのです。
興味深いのは、技術開発の進んだ現在の薪ストーブが、「地球温暖化」防止策の1つとして注目を集めているということ。化学燃焼をともなうこのレトロな暖房器具がなぜ、喫緊の課題である「脱炭素」や森林保護に貢献しうるのか。ふしぎに思いませんか?
森林面積が国土の3分の2を占める日本では最近、薪ストーブの使用が増えています。科学ジャーナリストが悪戦苦闘した実体験に基づく「薪ストーブの科学」を、短期集中連載でお届けします。