クラシカルな操作系が似合うボディに破格の性能――「LUMIX LX100」の実力に迫る:個人的にも欲しいカメラ(1/4 ページ)

絞りリングはF1.7から始まるLX100

 2014年に一番面白かったのはハイエンドコンデジだったと思う。

 今まで1/1.7型センサーを主戦場としていたハイエンドコンデジが、一気に1型クラスの大きなセンサーを搭載するようになり、各社がそれぞれ想定したターゲットに向けて本気で作ったカメラが続々と出てきたのだ。

 ソニーの「Cyber-shot DSC-RX100」シリーズが独壇場だった市場に、キヤノンが「PowerShot G7 X」を、パナソニックがさらに大きなセンサーを積んだ「LUMIX DMC-LX100」を投入。1/1.7型とはレベルが違う高性能なセンサーだけに、価格もそれなりにするわけで、その分ボディの剛性感や操作感も増してカメラとして気合いの入った作りになっている。それが楽しい。

 今回はパナソニックのLUMIX DMC-LX100の実力を検証する。

 RX100がカジュアル&ガジェット系のハイエンド機なら、LX100は本格派カメラを目指したハイエンド機といっていいだろう。

 注目点は2つ。

 1つ目はマイクロフォーサーズと同じセンサーを搭載しながら「マイクロフォーサーズコンデジではない」こと。

 2つ目は撮影モードダイヤルを持たず、専用ダイヤルを多用したハイエンドユーザー向けの操作系を実現したこと。その辺に留意しつつチェックである。

センサーは同じだが“マイクロフォーサーズじゃない”

 一番のポイントはやはりイメージセンサーということでその話から。

 LX100は初のマイクロフォーサーズ用センサー(つまり1型よりさらに大きな4/3型センサー)を搭載したコンパクトデジカメである。画素数は同社やオリンパスのマイクロフォーサーズ対応ミラーレス機と同じ1600万画素であり、おそらくは同じセンサーを使っているのだろう。

クラシカルな操作系が似合うボディに破格の性能――「LUMIX LX100」の実力に迫る:個人的にも欲しいカメラ(1/4 ページ)

 ただし、間違えてはいけないのは「マイクロフォーサーズコンデジ」ではないということ。レンズのイメージサークルが、マイクロフォーサーズ準拠のカメラと比べて少し小さいのだ。

 具体的には1600万画素マイクロフォーサーズ機の出力する画像が4608×3456ピクセル(約1596万画素)なのに対し、LX100は4112×3088ピクセル(約1270万画素)なのだ。周辺部を使ってないのである。

 その分、レンズ径を少し小さくできるし、レンズ径より大きなイメージセンサーなのでマルチアスペクトを実現できるというメリットがある。デメリットはあまりない。まあちょっと画素数が落ちるくらいか。

 センサーに比べてイメージサークルが小さいことで清く正しいマルチアスペクトを実現できている。

 一般的にイメージセンサーの縦横比が4:3のカメラで、3:2の写真を撮ろうとすると、上下をトリミングした絵になる(つまり写る範囲が狭くなる)が、LX100のマルチアスペクトはちょっと違うのだ。

 3:2のモードにすると、上下が少し狭く、横幅が少し広くなるのである。画角(画角は対角線で示す)はほぼ変わらない。

 厳密には4:3のときに一番画角が広いのだが、その辺は次の表と作例を見ていただけると分かるかと思う。4:3で撮ったときと、16:9で撮ったときでは写っている範囲が明らかに違う。4:3のとき縦方向に一番広くなり、16:9のとき横方向に広くなる。

アスペクト比と画像サイズの関係
アスペクト比合計
4:34112ピクセル3088ピクセル約1270万画素
3:24272ピクセル2856ピクセル約1220万画素
16:94480ピクセル2520ピクセル約1129万画素
1:13088ピクセル3088ピクセル約954万画素
アスペクト比4:3の写真アスペクト比3:2の写真アスペクト比16:9の写真

 これがうれしい。ちなみに正方形フォーマットもあるが、これは4:3の左右を切り取ったものとなる。

アスペクト比1:1(スクエア)の写真

 この大きなセンサーに光を与えるレンズは、24〜75ミリ相当の3.1倍ズーム。F1.7〜2.8。ワイド端がF1.8じゃなくF1.7というところに、細かい意地を感じてよい。センサーサイズが大きいので被写界深度もそこそこ浅く、ボケを使った表現も期待できる。もうちょっと望遠側が欲しい気がするが、大きさを考えると無理はいうまい。

正面から。レンズはライカのDC VARIO-SUMMILUX。F1.7-2.8。焦点距離は10.9-34mm(24-75mm相当)。レンズキャップが付属するが、別売りの自動開閉式キャップを買いたいところだ。なおフラッシュは内蔵していない側面から。鏡胴の根元にフォーカスモード切り替えスイッチが付いている

 ISO感度はISO200が基本。ISO100まで落とせるが、そうするとダイナミックレンジが狭くなってハイライト部が飛びやすくなる。最高感度はISO25600(拡張ISO感度をオンにした場合)だ。

 シャッタースピードは上限が1/4000秒だが、パナソニックのデジカメであるから、限界を超えると自動的に電子シャッターに切り替わる(もちろん手動でも可能)。電子シャッターだと最高で1/16000秒。NDフィルタは内蔵されてないものの、これだけあれば問題なく晴天下で絞り開放を楽しめよう。

 センサーサイズを考えれば破格の性能だ。

 撮影最短距離はワイド端でレンズ前3センチ、テレ端で30センチ。まあ使ってて寄れなくて困ることはまずなかろう。

 連写機能も優秀。秒間11コマの高速連写が可能な上に、電子シャッターにすると秒間40コマの超高速連写もできる。

 画質面ではかなりバランスの取れたいい写りを見せてくれる。ちょっとディテールの描写が甘いかなという気がするくらいだ。

 さらに大きなセンサーを使ったコンパクト機はおしなべて単焦点であり、ズームレンズ搭載のコンデジとしてはキヤノンのG1X mark IIと並んで最高峰といっていい。G1X mark IIよりひとまわり小さくて軽い分有利だ。

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