6/9は「ロックの日」 最新の鍵は鉛筆等でメンテナンスを
6月9日は「鍵(ロック・Lock)の日」。「鍵を見直して防犯について考えよう」と、日本ロックセキュリティ協同組合が2001年に制定した記念日だ。
「平成14年をピークとしたピッキングによる空き巣に対応して、ドアの鍵は侵入されにくい精密なものへと進化してきました。その一方で、新しい防犯性の高い鍵を使っているからウチは大丈夫、と安心してばかりはいられません。防犯性が高い鍵ほど“精密機械”なので、日頃のメンテナンスをきちんとしていないと、その性能が発揮できなかったり、故障を起こしたりすることもあります」と語るのは、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さん。
鍵の調子が悪くなり、「オートロックも完備だから大丈夫だろう」と面倒がって、つい鍵を掛けずにゴミ捨てやコンビニに出かけた隙に、空き巣に入られてしまった……という事例もあり、鍵の不具合が犯罪被害につながったケースも少なくないらしい。そこで鍵の大手メーカー・美和ロックで、具体的な鍵のメンテナンス方法について教えてもらった。
「ディンプル錠など防犯性能の高い精密な鍵になればなるほど、埃の影響などを受けやすくなります。また鍵の回りが悪くなった時に、市販されている万能潤滑油を鍵穴に差してしまう方は多いのですが、これは精密な最新の鍵には絶対にやらないで欲しいこと。差した直後はスムーズに鍵が回るようになりますが、潤滑油と埃が混ざって鍵穴部分に付着して、故障の原因に繋がります。
鍵のメンテナンスでは、まず鍵穴部分の埃を取り除くことが大事です。掃除機で吸い込んだり、パソコンのキーボード掃除などに使うエアダスターで吹き飛ばすだけで、埃はかなり取り除くことができますよ。
次に鍵本体の掃除は、まず歯ブラシで表面の汚れをこすり落としてから、溝やディンプル(穴)を柔らかい鉛筆でこすってみてください。そのまま拭き取らずに鍵穴に入れて回すと、黒鉛が鍵穴内部に付着して潤滑剤の役割を果たし、びっくりするほどスムーズに鍵が回るようになります。鉛筆は芯の柔らかな2Bなどがオススメですね」(美和ロック 広報室 木谷麻希さん)
また、滑りを良くするといっても、ろうそくのロウやミシン油などもNG。“鉛筆がいいのか!?”と、鍵穴に鉛筆の芯を直接入れてしまうと、折れた芯を除去するために「分解清掃」が必要になるので、アドバイスの手順をしっかり守るのもポイントだ。
これまで「鍵を掃除する」という発想がなかった人も多いと思うが、エアダスターやノンオイルでパウダータイプの鍵穴専用潤滑剤といった専用のアイテムがなくても、掃除機や鉛筆・歯ブラシなど、身の回りにあるもので手軽にできる。しかも「年に1~2度行なえば充分」とのことなので、ロックの日や大掃除のタイミングに試してみるといいだろう。
「正しい鍵のメンテナンスをして、スムーズな戸締りができることは防犯の第一歩。夏場は開放的な気分になり、窓を開け放して眠ったり、ドアの鍵を閉めずに“ちょっと近所まで”と、出かけたりしてしまう方も増えます。
今日まで大丈夫だったからといって、明日からはわかりません。玄関だけでなく、勝手口、窓などすべての出入り口は泥棒の侵入口。外出時には必ず施錠する、窓を開けて換気をする際は窓に補助錠をつける。約10年以内に新築したか、錠前を新しくしていない場合は、警察庁によって防犯性能が高いと認定された『CP認定錠』に交換する――など、こういった機会にぜひ防犯について、見直してみてもらいたいですね」(前出・佐伯さん)