車速連動オートドアロックは必要か 装備の有無が分かれるのは「安全思想のちがい」
一定の速度に達すると、全ドアが自動でロックされる機能を備えたクルマがあります。子どもが誤ってドアを開けるのを防ぐといったメリットがありますが、一時期は採用例が減り、最近になって再び増えています。なぜ装備の有無が分かれるのでしょうか。
ファミリーには欲しい機能?
クルマが走り出し、15km/hや20km/hなど一定の速度に達すると全ドアが自動でロックする車速連動型のオートドアロック機能を備えた車種があります。一方、この機能がついていないクルマも多いためか、ユーザー自身でこれを可能にするための装置もカー用品店などで多く売られています。
これら商品には、たとえば「子どもが誤ってドアを開けてしまわないように」「信号待ちなどでの車内侵入を阻止」といったメリットがうたわれています。特にトヨタ車に対応した商品が多く見られますが、製造メーカーのひとつであるキラメック(愛知県半田市)によると、トヨタ車でこの機能が標準装備されているのは2000cc以上の一部車種のみで、たとえば「プリウス」などには設定されていないとのこと。社外パーツとしては、特にファミリー層の需要が多いワンボックスカーに対応するものがよく売れるそうです。
メーカーでは、この機能をどう捉えているのでしょうか。2017年10月にモデルチェンジした「レガシィB4」に、この機能を新たに設定したスバルに話を聞きました。
――車速連動型のオートドアロック機能をなぜ新たに採用したのでしょうか?
他メーカーのクルマでも採用例があり、お客様からもご要望の多い機能です。「レガシイB4」は車格が上の車種でもあるため、今回新たに機構を開発して採用しました。
――スバル車ではこれまでなかったのでしょうか?
直近10年くらいで採用例はなく、運転席から手動で行う集中ドアロックのみでした。車速連動型オートドアロック自体は少なくとも1980年代からある技術ですが、一時期、緊急時にドアが開かなくなるとの問題がクローズアップされたこともあり、他メーカーでも採用例が少なくなったのです。今回は、万が一の衝突時に全ドアを自動的にアンロックさせ、安全性を確保したうえで採用したほか、オートロックをしない設定にもできるようにしています。
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