Mitsubishi Outlander P (4WD) [Test drive] The possibility is infinite

パワートレインは洗練の極み

袖ケ浦フォレストレースウェイのプロトタイプ試乗会で、そのSUVらしからぬ走りに驚かされ、同時に「ここはなんでこうなってるの?」と少なからず疑問も抱いた新型三菱アウトランダー。それをようやく一般公道で走らせることができた。

三菱アウトランダーP(4WD)【試乗記】 可能性は無限大

今回の試乗会は、千葉県千葉市にあるホテルをベースに行われた。区画整理がいき届いた幕張の市街地でその取り回しを、東関東自動車道では高速巡航時のフレキシビリティーを確認し、最後は「オートランド千葉」でダート走行まで体験するという充実の内容である。

試乗車は最上級グレードの「P」。カタログに見る満充電時のEV航続距離は83kmだが、試乗中に“エンジン充電”を体験できるようにと、あえてバッテリーをフルチャージしない状態で貸し出された車両のメーターには、EV航続距離はわずかに12kmと表示された。これなら、かなり早い段階でハイブリッドモードやチャージモードの実力が試せそうである。

ということで早速走りだしてみたのだが、まず面白かったのは、EVモード時のアウトランダーの走りに、あまり“EV感”がないことだった。エンジンは完全停止しているのだが、なぜか普通にガソリン車を走らせているようなフィーリングである。

もっとも、このクルマはピュアEVではなくPHEVであり、フロントコンパートメントには2.4リッター直列4気筒の“重り”が収まっている。動かした感覚が慣れ親しんだエンジン車と似ているのはうなずける。ただ、それ以上に「高いキャビンの静粛性が効いているのでは」と筆者には感じられた。アクセル開度が小さい状況では、外部環境の音はもちろん、モーターやインバーターなどが鳴らすEV特有の音までもがきちんと遮断される。外では結構はっきりと“ヒューン音”が聞こえるらしいが、車内ではそれが聞こえないため、乗ってる限りはEV感が薄いのである。

加えて、モーターの制御が非常に洗練されている。わずかなアクセル開度でもきちんと反応するうえに、トルクの出方が穏やかに制御されているため、EVにありがちな出足の唐突さがないのだ。

「パジェロ」なき今、名実ともに三菱の旗艦車種となった「アウトランダー」。新型は、日本で「エアトレック」と呼ばれていた初代も含めると、4世代目のモデルとなる。
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従来型より大幅に質感がアップしたインテリア。装備も充実しており、広範なグレードにサンルーフがオプション設定されるほか、「P」には9基のスピーカーを備えたBOSEプレミアムサウンドシステムが標準装備となる。
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電動パワートレインの制御には、効率を優先した自動制御のハイブリッドモード「NORMAL」、バッテリーの電気だけで走る「EV」、バッテリーの残量をキープして走る「SAVE」、エンジンを常時回転させ、バッテリーを充電しながら走る「CHARGE」が用意される。
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バッテリーの大容量化とモーターの高出力化により、電動車としての性能を大幅に高めた新型「アウトランダー」のPHEVモデル。EV走行可能距離は最大83km(「G/P」グレード)、EV走行時の最高速は130km/hとなっている。
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