コメ農家がプロデュースする「デコトラ」 こだわりは豆電球 「LEDにはない温かみ感じる」
知人のデコトラを点検する沖田芳博さん。気分は菅原文太さん演じるトラック野郎シリーズの主役・星桃次郎=伊佐市菱刈南浦
米作りの傍ら、農家からもみすりや乾燥を請け負う沖田ライスセンターの代表、沖田芳博さん(48)=鹿児島県伊佐市大口曽木=には、もう一つの顔がある。農作業の合間に派手な電飾を施すトラック「デコトラ」づくりにいそしむアーティストだ。【写真】愛用のトラクター。こちらはデコらない
デコトラとの出合いは小学5年。映画「トラック野郎」のプラモデルを買ってもらった。中学で自転車をデコチャリに改造。高校卒業後、県内の運送会社に就職し、運転手になった。21歳の時、望郷の念に駆られ、実家に戻った。農業を手伝い始め、10トン車を購入。装飾に熱中した。 県内のアートトラック愛好家集団「龍桜船団」に1997年の立ち上げから参加する。部品を手作りするための本格的な機械がそろうガレージはまるで町工場。仲間からの製作や修理の依頼も受ける。 昨秋、3台目の愛車を知人に譲った。こだわりは豆電球。LED球にはない温かみを感じる。新相棒の構想を一緒に練るのは妻久美さん(51)。付き合い始めて最初の誕生日にバンパーを贈ってくれたマドンナだ。 地元では2018年、霧島連山えびの高原・硫黄山の噴火の影響で稲作が中止となった。水田23ヘクタールのうち40アールを黒豆に転作。年約500キロを収穫し、加工品開発にも力を入れる。「特産として広がり、一番星のように農家の光になれば」と、こちらの豆にも期待する。
最終更新:南日本新聞