「接種証明」義務化するフランスと日本の決定的差 日仏の「ワクチンパスポート」を比較してみる
日本でも昨年12月から動き出したワクチンパスポート。だが、オミクロン株の感染拡大により東京などで「まん延防止等重点措置」が始まり、ワクチン接種などを条件に行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」の活用も原則として一時停止。ワクチンパスポートを活用する場面が限定されている。
その一方、フランスでは、ウィズコロナのなかで経済をいち早く回すため、飲食店の再開とワクチンパスポート(衛生パス)がセットで実施されてきた。日仏両国のデジタル版ワクチンパスポートを使ってみた体験を基にしながら、それぞれの違いを明らかにしてきたい。
早さに徹したフランスと確実性を取った日本
フランスのワクチンパスポートは、「TousAntiCovid」というフランス政府が出すアプリを使い、新型コロナに関するほぼすべてのデジタル証明書を管理している。日本の「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」と「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」を1つにまとめたような形だ。
フランスの「TousAntiCovid」アプリ画面(写真:筆者撮影)この「TousAntiCovid」は、元は新型コロナ陽性者との接触機会の確認や、ロックダウン時のデジタル外出証明を携行するために使われていたものである。新型コロナを取り巻く社会の状況が変化するのに合わせて、アプリ内の機能をアップデートし、現在はデジタル版の衛生パス(ワクチンパスポート)を提示できるアプリとして使われている。ワクチンパスポートとしての使い方は、接種証明書に記載されたQRコードを読み込むと、そのコードとコード内に含まれる情報がアプリ内に取り込まれる仕組みだ。
日本の「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」は、大きな違いが2つある。日本の場合は、生成するパスポートを「国内用」「海外用」と、アプリ内で2種類に分けている点。そして、日本のアプリではワクチン接種証明が本人のものであるかどうか、
ワクチンパスポートを、経済活動再開の手段として早い時点から導入していたフランスでは、ワクチン接種をベースにして飲食店などの入店を許可する仕組みを築き、コロナ禍でもなるべく経済が回りやすい状態を目指した。その際に問題となったのが、提示された接種証明書の本人確認である。