AIスタートアップのシナモン、約15億円を調達しシリーズBラウンドをクローズ——アドバイザーに新浪剛史氏が就任、米法人を設立しSVに進出 | BRIDGE(ブリッジ)テクノロジー&スタートアップ情報

ホワイトカラー向けに人工知能(AI)を使った文書読み取りエンジン、音声読み取りエンジンなどを開発するシナモンは28日、昨年から調達していたシリーズ B ラウンドをクローズしたと発表した。最終的な調達完了額は約15億円となる。シリーズ B ラウンドでは昨年発表分に加えて、未来創生ファンド(スパークス・グループ)、野村ホールディングス、住友商事、SMBC ベンチャーキャピタル(SMBC-VC)、千本倖生氏、石黒不二代氏が新たな投資家として加わる。SMBC-VC を含め、全ての出資は協業などを見据えた戦略的出資だ。

自社開発による文書読み取りエンジン「Cinnamon AI」を使った RPA(クラス2)ソリューション「Flax Scanner」は、主力製品として、契約書、履歴書、営業進捗報告、医療カルテ、手書きの申請書、不動産物件情報、領収書などの自動整理に活用されている。また、Flax Scanner で採用されている正確な文字単語認識のための認識修正技術をベースに開発された「Rossa Voice」は、コールセンターの録音などから文字起こしを正確に実現できるソリューションだ。

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今回発表された新たな出資者のうち、野村ホールディングスとの協業では、傘下の野村證券のコールセンター業務で Rossa Voice が活用される見込みだ。証券会社のコールセンターでは、サービス向上や瑕疵防止の観点から顧客とのやりとりを録音していることが多いが、膨大なコールや音声データの中から、人間が全てをモニタ/レビューすることには無理がある。Rossa Voice の技術はこういったプロセスの効率化や省力化に役立てることができる。

シナモンとの協業を通じて、住友商事は部署を横断したデジタルトランスフォーメーションに、SMBC-VC は三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)傘下各社の業務効率化に、未来創生ファンド(運営はスパークス・グループ、ファンド出資はトヨタ自動車と三井住友銀行)はトヨタの業務効率化の可能性に期待を寄せる。

今回の調達を受けて、シナモンは海外進出にも注力する。ベトナムや台湾では AI 開発拠点の地固めを行ってきたが、ビジネス開発やセールスの拠点として、これまでの東京に加え、シリコンバレーにオフィスを開設しアメリカ市場にも進出する。InsureTech 系のカンファレンスなどへの参加を通じて、アメリカ企業からは Rossa Voice に高い関心を得られているそうで、競合はいるものの潜在需要が大きいアメリカへの進出を他市場よりも優先させた格好だ。

また、サントリーホールディングス代表取締役社長の新浪剛史氏が2月1日、シナモンのアドバイザーに就任することも発表された。三菱商事、ローソンとリーダーシップを発揮してきた新浪氏の力を借りることで、シナモンでは拡大する組織の体制づくり強化に注力したいとしている。シナモンでは今後、ビジネス開発、AI ソリューションのデリバリ担当、シニア AI リサーチャーのハイヤリングを強化する。

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